用語解説 p282-287_環境倫理

環境倫理(→p.282) 環境破壊への反省から、自然環境に対して、人間がどのような判断、行動をするべきかを考える倫理。地球の有限性、世代間倫理、自然の生存権の三つの視点がある。

地球環境問題(→p.282) 地球規模で生じている環境問題のこと。発生源や被害を受けている地域が限定されず、国境を越えるなど広域的であり、因果関係も十分に把握されないなど複雑で、国際的な枠組みでの取り組みが必要である。

オゾン層の破壊(→p.282) 地表から高度10~50km 付近にあるオゾン層で、フロンなどの化学物質によるオゾンの分解が起こり、低濃度の部分が生じるなど、破壊が進んだこと。オゾンは、皮ふガンの原因となるなど有害な紫外線を吸収し、生態系を保護している。

砂漠化(→p.282) 干ばつなどの気候的要因や、森林伐採、過放牧、過耕作、塩害などの人為的な要因によって土地が劣化し、不毛の地になっていくこと。

酸性雨(→p.282) 化石燃料の燃焼などにより発生する窒素酸化物や硫黄酸化物などによって酸性化した雨。酸性雨が降ると、土壌が酸性化して植物が枯死したり、湖沼の魚類の生育が脅かされたり、建造物が溶けたりするなどの被害が起こる。

予防原則(→p.282) 1992年のリオ宣言で明文化。環境保護のため各国は予防的取組をすべき、取り返しのつかない深刻な環境悪化を生じる恐れがある場合、科学的に因果関係が確実でなくても、予防的措置をとるべきとする考え方。

国連環境開発会議(→p.283) 1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された、世界的な環境に関する会議。地球サミットとも呼ばれる。持続可能な開発という理念を掲げ、気候変動枠組条約、生物多様性条約など、その後の環境保全を方向づける重要な条約が採択された。

持続可能な開発(→p.283) 将来の世代の利益を損なわない程度に環境を利用し、開発を行おうとする環境保全の基本的な理念。国連環境計画などが示し、国連環境開発会議での中心的な考え方にもなった。

気候変動枠組条約(→p.283) 地球温暖化防止条約ともいう。温暖化の原因となる大気中の温室効果ガス(二酸化炭素、メタンなど)の排出量を削減し、温暖化を防止することを目的とした条約。

京都議定書(→p.283) 1997年に京都で開かれた気候変動枠組条約締約国会議で採択された議定書。先進国に温室効果ガス(二酸化炭素など6種)排出量の具体的な削減目標を定めた。

ナショナル・トラスト(→p.284) 自然環境や歴史的名所の保護を目的とし、土地を市民が買い上げたり、自治体に買い取りを求めたりする運動。イギリスで設立されたボランティア団体名に由来し、同様の趣しゅ旨し での活動や理念そのものをさす。

生物多様性条約(→p.284) 地球の生命維持能力や生物の環境への適応、進化する能力は、様々な生物が生きる生物多様性によるとして、その維持と持続可能な利用を目的に、国連環境開発会議で採択された条約。

生態系(エコシステム)(→p.285) ある特定の地域に存在する生物と、それを取り巻く環境とが相互に作用し合っている、一定のバランスのとれたまとまり。生態系内では、物質は例えば食物連鎖のように循環している。

世代間倫理(→p.285) 現在を生きている世代が、未来を生きる世代の生存可能性に対して責任があるとする考え方。世代間衡平(性)ともいわれる。ドイツ出身の哲学者ヨナスらが主張した。

自然の生存権(→p.285) 人間だけでなく生物種、生態系、景観なども生存の権利を持つのであり、保護しなければならないという考え方。