1 人間の尊厳

1 ルネサンス
ルネサンス……古代ギリシア・ローマの学問や芸術の復興を意味する。イタリアからヨーロッパ諸国に広がる
万能人……ルネサンスにおいて理想とされた人間の姿。あらゆる分野において個人の才能を発揮
人文主義(ヒューマニズム)……キリスト教的な考え方を離れ、人間性を探究・回復する試み。人間の尊厳の確立

2 宗教改革
・ローマ・カトリック教会の伝統や、教皇の権威に縛られた当時のキリスト教のあり方に対抗し、個人の内面の信仰に重きを置いた宗教運動。それによって、本来のあるべきキリスト教のかたちを回復しようとした
①ルター(1483~1546)
主著『キリスト者の自由』
ドイツの宗教改革者。『新約聖書』のパウロの言葉の中に信仰義認の考えを発見し、自らの立場とする
贖宥状(免罪符)を批判する「95か条の論題」←宗教改革の発端
信仰義認説……信仰によって義しい人と認められる。イエスを救い主と信じることによって救われる
聖書中心主義……神と人間を結ぶのは聖書→ヘブライ語、ギリシア語の聖書をドイツ語に翻訳する
万人祭司説……全キリスト者は全生涯を神にささげて仕える祭司であり、神の前に平等
職業召命観……人間にはそれぞれ神から授かった使命・役割がある。どの職業も神が授ける特別な仕事

②カルヴァン(1509~64)
主著『キリスト教綱要』
フランス出身で、スイスのジュネーヴで活動した宗教改革者
予定説……どの人間が救済されるかは神の意志により予め定まっている
カルヴァン派の禁欲的職業召命観……ルターと同様、職業は神が授けた使命とする。職業に励むことにより自らが救われる者だという確証を得るルターと異なり、利潤の追求を肯定→近代資本主義を生み出す倫理的基盤となる(ウェーバーの説)

3 モラリスト
・16~17世紀の宗教戦争の時期のフランスにおいて、自己認識を通して人間の本質や生き方を探究した思想家
①モンテーニュ(1533~92)
主著『エセー(随想録)』
フランスの哲学者
・懐疑主義……批判精神を持って自分の考え方を吟味。「私は何を知るか(ク・セ・ジュ)」、寛容さ

②パスカル(1623~62)
主著『パンセ』 
フランスの哲学者、数学者
・人間は、偉大さと悲惨さの間をさまよう中間者
・「人間は考える葦である」……思考できることこそが人間の尊厳であるとする
・人間の精神に備わる二つの能力→「幾何学の精神」と「繊細の精神」