5 中国の思想

1 諸子百家
春秋戦国時代、国の政治のあり方を説く思想家たちやその集団が登場
 →儒家・墨家・道家・法家・縦横家・名家・陰陽家・兵家・農家
①韓非子(?~前233)
法治主義……政府が定めた普遍的な法に基づく刑罰などの強制力で秩序を守る

2 儒家と墨家
①孔子(前551頃~前479)
主著『論語』(弟子らが編纂)『春秋』
……家族的な親愛の情を基本とする愛→忠恕(まごころ、思いやり)や孝悌(親・祖先、兄弟に対する情愛)
克己復礼……感情や欲望を抑えて、仁が外面に表れ出た(社会規範)に従うこと→人を愛すること
徳治主義……為政者自らが徳を身につけて模範となり、人々を道徳的に感化させることで秩序が生まれる

②墨子(前480頃~前390頃)
主著『墨子』
兼愛・非攻……自分を愛するのと同様に他者を愛する愛(兼愛)・正義に反する侵略戦争の否定(非攻)

③孟子(前372頃~前289頃)
主著『孟子』
性善説……人は四端という善の素質を生まれながらに持ち、それを育てると四徳が完成する
 四端:惻隠の心・羞悪の心・辞譲の心・是非の心
 四徳:・義・・智
 →浩然の気(道徳の実践に向かう心)に満ちる
・五倫(親・義・別・序・信)→人間関係に関する五つの徳目
王道政治……徳に基づく仁政⇔覇道政治(武力による統治) 
易姓革命……王朝交替の理論 禅譲と放伐

④荀子(前298頃~前235頃)
主著『荀子』
性悪説……人の本性は悪である→利己的で、嫉妬心を持ち、勝手気ままで本能的
礼治主義……礼という社会規範を教育することにより人の内面に訴えかけ、悪である本性を矯正→社会正義を実現

3 朱子学と陽明学
①朱子(1130~1200)
主著『四書集注』『近思録』
理気二元論……万物は理と気の二つの原理で構成される。学問によって理を獲得できる(格物致知)
性即理……人間の本性は理そのもの→万物を貫く理を極めれば理想的な人間になれる(居敬窮理)

②王陽明(1472~1528)
主著『伝習録』(弟子らが編纂)
心即理……理は事物にはなく、各人の心にこそ理が存在する
知行合一……知と実践は一体。正しさを判断する能力(良知)を発揮し(致良知)、実践に移せば善は実現する

4 道家
①老子(生没年不詳)
主著『老子』(『老子道徳経』)
……万物がそこから生まれ、そこへと帰っていく根源、無限の可能性=無
無為自然……自然の道に素直に従う生き方→柔弱謙下(謙虚さとしなやかさ)・上善如水(「上善は水の如し」)
小国寡民……自給自足の生活を営む少数の人が作る、範囲も狭い小さな農村のような世の中を理想とする

②荘子(前4世紀頃)
主著『荘子』
万物斉同……すべては善悪などの対立・差別を超えた一つで斉しいもの
真人……逍遙遊という何にも束縛されない自由の境地に至った人←心斎坐忘により真人となる