4 仏教
①仏教以前のインド思想
・バラモン教(ヴェーダの宗教)
ヴェーダ……バラモン教の聖典。最古のヴェーダは『リグ・ヴェーダ』
ヴァルナ制……4つの身分による身分制度。カースト制度と呼ばれる厳しい身分制度のもととなる。バラモン(司祭者)・クシャトリヤ(王族・武人)・ヴァイシャ(庶民)・シュードラ(隷属民)
・ウパニシャッド
ウパニシャッド哲学……ヴェーダの真意、呪術の秘法などが体系化された『ウパニシャッド』に基づく哲学
輪廻……生前の行為(業・カルマ)により次の生存がどのようなものか決まるという考え方。自業自得、因果応報。過去世・現世・来世という形で、人の一生が連鎖する
解脱……苦しみに満ちた、輪廻する世界からの脱却→インド思想の基底
梵我一如…… 世界の原理であるブラフマン(梵)と自己の本質であるアートマン(我)は一体であること。両者が一体であることを体得すれば解脱できる
・ジャイナ教(開祖:ヴァルダマーナ)
厳密に戒律を守り、苦行を行う。特に不殺生(アヒンサー)という戒律を重視
②ゴータマ・シッダッタ(前463頃~前383頃)
出家して悟りを得る→初転法輪で初めて仏教教義(おもに四諦、中道、八正道)を説く
・四苦八苦……生老病死(四苦)+怨憎会苦・愛別離苦・求不得苦・五蘊盛苦
・四法印……世界の4つの真理を悟り、無知(無明・煩悩)からの解放をめざす。諸行無常、諸法無我、一切皆苦、涅槃寂静
・縁起説……すべては相互依存の関係、何らかの因縁。例:無知(無明)が原因で一切皆苦
・四諦……苦諦、集諦、滅諦、道諦の4つの真理を因果関係で説く
・中道……極端の否定。八正道として具体的に示され、煩悩から自由になるための修行法となった
・慈悲……命あるものへの慈しみ、憐れみ。与楽・抜苦
③仏教の展開
上座仏教……出家者が自力で修行の完成をめざす→めざす修行者の姿は阿羅漢
大乗仏教……一切衆生の救済をめざす→利他を重視。めざす修行者の姿は菩薩。利他という修行法が六波羅蜜(布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧)として説かれる
・空の思想……ナーガールジュナ(竜樹)が確立。万物は確定・限定ができず、無自性であるとする
・唯識思想…… アサンガ(無著、無着)・ヴァスバンドゥ(世親)が確立。すべての事物は、心の働きである識の作用がもたらしたもので、実在するものではないとする