2 キリスト教

①『旧約聖書』の思想
・『旧約聖書』……ユダヤ教の聖典。キリスト教、イスラームでも聖典と位置づけられる。
 「約」……神との契約のこと
・神との契約……神(ヤハウェ)が人間と結ぶ約束。神の授けた律法(トーラー)を守ることにより救われる。モーセの「十戒
選民思想……イスラエルの民は神によって特別に選ばれたとする考え方。救世主(メシア)を待望

②イエス(前4頃~後30頃)
30歳の頃、洗礼者ヨハネから洗礼を受ける→伝道活動を開始
・神の国……罪を悔い改め、互いに愛し合う人々の間に実現する国
 →全人類に対する「福音」(喜びの知らせ)
・神の愛(アガペー)……すべての人に注がれる無償で無限の愛。「神の国」における愛の形
隣人愛……「隣人を自分のように愛しなさい」。「自分のしてもらいたいことを人にしなさい」←黄金律と呼ばれる
・四つの福音書(マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネによる福音書)……イエスの生涯と言葉を記す
 →イエスは神が遣わした救い主(キリスト)であり、処刑後に復活したと信じる→キリスト教の成立

③パウロ(?~62/65頃)…イエスの教えを広める
ユダヤ教徒→キリスト教に劇的に回心。キリスト教をイスラエルの民以外の民族へ布教
原罪……人間が生まれながらに持つ罪
 神は人間の原罪をあがなう(贖罪)ために、ひとり子であるイエスを遣わす
・キリスト教の三元徳……信仰、希望、愛

④アウグスティヌス(354~430)
主著『神の国』『告白』『三位一体論』
「最大の教父」。教父……教会の教えを明らかにした思想家
恩寵……神の恵み・無償の愛。人間は、神からの恩寵によってのみ救われる
・神の国……神の愛に基づく共同体。その平和と正義を地上で実現するため尽力するのが教会
・三位一体……「父なる」、「子なるイエス」、「聖霊」は、「一なる神」であり一つの本性である

⑤トマス・アクィナス(1225頃~74)
主著『神学大全』
中世スコラ哲学の完成者
アリストテレス哲学を基盤としてキリスト教信仰を体系化
・信仰と理性の調和……信仰の下に理性があるとする。
 「哲学は神学の侍女」……哲学的真理は神学的真理に奉仕するもの
・オッカム(1285頃~1347)
キリスト教信仰の真理、神学から哲学(イデア論、形而上学など)を切り離す
「オッカムの剃刀」(オッカムの節約的な思考法)