5 国学・庶民の思想
1 国学
・日本古典の実証的・文献学的研究→外来思想の影響を受けていない日本固有の純粋な精神(古道)の究明
契沖(1640~1701) 主著『万葉代匠記』 国学の祖、古典研究を発展させる
荷田春満(1669~1736) 国学の必要性・外来思想の排除を主張
①賀茂真淵(1697~1769)
主著『万葉考』『国意考』
・高く直き心……古代日本人をつらぬく、私心のない高貴で真っすぐな精神
・ますらをぶり(益荒男振)……男性的で荒々しく力強い風格。おおらかさもあり『万葉集』をつらぬいている
②本居宣長(1730~1801)
主著『古事記伝』『直毘霊』『源氏物語玉の小櫛』『秘本玉くしげ』
・惟神の道……『古事記』『日本書紀』に示された神々の振る舞いをもとにする習俗→儒教や仏教の影響を受けた心である漢意を除こうとする
・真心……人間の生まれながらの自然の情=日本固有の精神=大和心
・もののあはれ……外界の「もの」にふれた時のしみじみとした感情
たをやめぶり(手弱女振)……女性的で優しい様子・態度。『古今和歌集』にみられる
③平田篤胤(1776~1843)
宣長没後の門人
復古神道(日本固有の古代の神の道を説く)を完成
2 町人の思想
①石田梅岩(1685~1744)
主著『都鄙問答』『斉家論』
・町人の営利行為の正当化→正直・倹約(町人の守るべき道徳)
・心学(石門心学)を提唱……手島堵庵(明倫舎)・中沢道二らの心学者が続く
②懐徳堂……大坂町人の私塾。富永仲基『出定後語』、山片蟠桃『夢の代』
③三浦梅園(1723~89)……反観合一の条理学を唱える
3 農業思想
①安藤昌益(1703~62)
主著『自然真営道』『統道真伝』
万人直耕の自然世を理想とする⇔不耕貪食の徒による法世
②二宮尊徳(1787~1856)
主著『二宮翁夜話』(二宮尊徳の言行を弟子が筆録)
・農は万業の大本……農業を天の営み(天道)であるとともに、人の営み(人道)とする
→農村復興、農業は人道であるが天の恵みにも感謝し、報いる(報徳思想)→報徳仕法
・分度(経済力に応じた生活設計)、推譲(余裕分を将来へのそなえとしたり、困窮者に分け与えたりする)