2 日本仏教の受容
①仏教の受容
・仏教公伝……538年『上宮聖徳法王帝説』『元興寺縁起』(戊午説)⇔552年『日本書紀』(壬申説)
・蕃神(外国の神)……排仏派(物部氏)⇔崇仏派(蘇我氏)→587年、蘇我馬子が物部守屋を滅ぼし仏教受容
②聖徳太子(厩戸王)(574~622)
・推古天皇の摂政(蘇我馬子らと共同執政)→国政改革に仏教を用いる
・憲法十七条……和の精神(第一条)・三宝を敬う(第二条)・凡夫の自覚(第十条)
・世間虚仮、唯仏是真(中宮寺「天寿国繡帳」)……現世を無常とみる脱世俗的世界観
・『三経義疏』……法華経・維摩経・勝鬘経の注釈。聖徳太子の作とされていたが、現在では疑問視
③奈良仏教と神仏習合
・除災・招福のため国家による仏教の保護・統制→官寺の創設、官僧の育成
・鎮護国家……仏教の力により天下の安泰を図る。国分寺建立、東大寺大仏造立
南都六宗……三論宗・成実宗・法相宗・倶舎宗・華厳宗・律宗、仏教教義の研究
・鑑真……渡日し、戒律を伝える。東大寺戒壇院設立
・行基……仏教の普及と社会慈善事業に尽力。大仏造立に貢献
・神仏習合……仏教と神の融合→本地垂迹説……仏が根本で神は仮の姿(権現)
④最澄と空海
・最澄(767~822)……天台宗、のちの比叡山延暦寺を開く
主著『山家学生式』『顕戒論』
法華経の一乗思想を主張……すべての生きとし生けるものが成仏する可能性を有する(一切衆生悉有仏性)
・空海(774~835)……真言宗、高野山金剛峯寺、教王護国寺(東寺)
主著『三教指帰』『十住心論』
即身成仏……三密の行(身・口・意)により大日如来との一体化
・密教……神秘的行により悟りに至る。曼荼羅(密教の宇宙観)。加持祈禱により貴族の現世利益の実現
⑤末法の思想(浄土信仰)
・浄土信仰……現世での救いを求めず、阿弥陀仏に帰依し、西方極楽浄土への往生を願う(厭離穢土・欣求浄土)
空也(市聖)(903~972)……庶民に口称念仏を広める
源信(942~1017)……著書『往生要集』で浄土信仰を広める
・末法思想……正法・像法の世の後、正しい教えのみがあって修行・悟りが実現しない末法の世になるという考え方。1052年が末法の世の始まりと信じられていた