1 日本固有の思想
1 日本の風土
・和辻哲郎『風土』……人間の価値観や生活・文化は、風土的特性(自然的・地理的条件)によって規定される
→モンスーン型・沙(砂)漠型・牧場型の三つに類型化し、人間と文化のあり方を把握
モンスーン型―自然が猛威と恩恵
沙(砂)漠型―厳しい自然
牧場型―自然が従順
2 日本人の自然観
・自然……「おのずからなるもの」⇔人為的・作為的につくられたものではない
・他界……海・山の向こう=神々の住む世界
水稲耕作→平地に村落共同体を営む→周囲の海・山を他界と考える
→神や先祖の霊は定期的に現世と交流
先祖の霊……現世の豊穣と安寧は、先祖の霊の力によってもたらされる(柳田国男)
まれびと(客人)……定期的に訪れる神・来訪神。それをもてなす所作→芸能が誕生(折口信夫)
3 日本人の神観念
・アニミズム(自然崇拝・精霊信仰)……あらゆる自然物に霊が宿るという観念→自然への畏敬の念
・八百万神……古代日本で信仰の対象となった多くの神々
→ヤマツミ(山神)・カグツチ(火神)・ワタツミ(海神)・イカヅチ(雷神)など
・神の二重性格……恵みの神(自然が恵みをもたらす)・祟りの神(自然が生活を脅かす)
神々の怒りを鎮める→祭祀→神道につながる
・祀る神・祀られる神……自らが神として祀られると同時に、自らも背後に控える神々を祀る。超越神はいない
4 日本古来の精神
・罪・穢れ
罪……社会秩序を乱し生活を脅かす行為。祭祀の妨害など
穢れ…禍を招き神聖なものを穢すこと(死の穢れ・血の穢れ)。祭祀の支障となる
・禊・祓い
禊……水によって穢れを洗い落とす
祓い(祓え)……供物・祝詞などによって罪・穢れを祓う
※罪・穢れは、禊・祓いによって取り去ることができる
・清明心……きよきあかきこころ。うそ偽りなく明朗で、邪心のない心⇔きたなき心(濁心)・くらき心(暗心)
5 神道とその展開
・神道……日本古来の神々を祀る信仰。古来の神信仰(古神道)をもとに成立。清明心・正直・誠の徳を重視
時代の変遷により様々な神道が誕生→伊勢神道・唯一神道・垂加神道・復古神道・国家神道
6 日本の特徴
・外来文化を積極的に受容・吸収し、独自の文化に→日本文化の重層性(和辻哲郎)