6 社会主義の思想
①初期(空想的)社会主義
産業革命による失業や貧困、階級対立の激化の解決を求め、経済的な自由主義や個人主義を批判
→支え合いの実現による問題解決をめざす
・オーウェン(1771~1858)……自他の幸福を願う人々が共同で生産・消費する協同体を作り、社会を改革
→実験場としてニューハーモニー村を建設
・サン=シモン(1760~1825)……産業者(資本家・労働者)による支配:産業主義
・フーリエ(1772~1837)……生産と消費をともに行う協同体
→ファランジュ(ファランステール)
②マルクス(1818~83)
主著『資本論』『経済学・哲学草稿』『経済学批判』
初期(空想的)社会主義を批判し、科学的社会主義を確立
・人間観……類的存在(自然や社会との関係の中で人間をとらえる)
・資本主義の生む問題
労働の疎外……労働者が労働の喜びや生きがいを奪われ、労働が単なる生存の手段となる→生産物からの疎外、生産過程からの疎外、類的疎外、人間疎外
搾取……資本家が労働者を「賃金」分以上に働かせて、剰余価値を「搾取」
・唯物史観(史的唯物論)……階級闘争が人類の歴史を動かす駆動力
→下部構造(経済)が上部構造(意識・思想・政治・宗教)を規定
・資本主義の克服……共産主義革命:労働者階級が資本家階級との階級闘争に勝利を収めて、共産制社会へ移行
③社会主義の実践
・レーニン(1870~1924)
主著『帝国主義論』『国家と革命』
マルクス主義を現実へと適用(マルクス・レーニン主義)→ロシア革命
帝国主義……資本主義の独占段階(金融資本を中心に独占が進展)→帝国主義戦争:労働者は「戦争を内乱へと転化」
プロレタリア独裁……大衆の参加する支配の形
・毛沢東(1893~1976)
中華人民共和国の樹立を宣言(1949年)
主著『矛盾論』『実践論』
後進国における社会主義革命の道を模索
新民主主義論……新民主主義社会を経た上で社会主義へ移行するという二段階革命論
④その後の社会主義
・ロシア……ロシア革命によりソビエト社会主義共和国連邦樹立(1922年)。共産党一党独裁。→1991年崩壊
・イギリス……フェビアン協会の結成→議会進出による社会改革
ウェッブ夫妻(夫シドニー・ウェッブ〈1859~1947〉、妻ビアトリス・ウェッブ〈1858~1943〉)
フェビアン社会主義→マルクス主義の暴力的な革命を否定し、平和的・漸進的に福祉国家の実現をめざす
・ドイツ……社会民主主義が発展→労働者の代表が議会で多数を占めることにより社会主義の実現をめざす
ベルンシュタイン(1850~1932)……フェビアン社会主義の影響を受け、議会を通じた社会改革(修正主義)を唱える。→修正主義論争