4 ドイツ観念論
①カント(1724~1804)
主著『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』『永遠平和のために』
・批判哲学……人間の理性そのものを批判的に検討
→人間がこの世界で起こる現象を認識する際に働く理性(理論理性)と、道徳的判断を行う際に働く理性(実践理性)に分けた
・コペルニクス的転回……「認識が対象に従う」のではなく、「対象が認識に従う」
人間はものをあるがままに認識しているのではなく、知覚を再構成して認識している
・道徳法則……「あなたの意志の格率が、常に同時に普遍的立法の原理となるように行動せよ」
→定言命法―無条件の命令の形式(「~せよ」)⇔仮言命法―条件付きの命令の形式(「もし…ならば~せよ」)
→善意志……義務に従って道徳的によいことをしようとする意志。行為の結果ではなく、動機が重要(動機主義)
・人間の尊厳……道徳法則に自律的に従う自由な主体としての人格であることに、人間の尊厳をみる
→人格を単なるモノのように手段として扱うのではなく、目的として扱う
→互いの人格を目的として尊重する共同体―目的の国(目的の王国)
②ヘーゲル(1770~1831)
主著『精神現象学』『論理学』『法の哲学』
カントの批判哲学から始まったドイツ観念論の完成者
・絶対精神……個人を超えた理性の働き。世界のすべての背後にあり、自由の実現を目的としてすべてを動かす
・弁証法……認識、存在、歴史の発展の法則。対立・矛盾するものから高次なものが生まれ、発展
→正(テーゼ)・反(アンチテーゼ)・合(ジンテーゼ)、止揚(アウフヘーベン)
・人倫……客観的な法と主観的な道徳とを統一したもの。共同体における具体的な倫理
→家族・市民社会・国家の3段階からなり、市民社会で失われた人倫が国家において回復される
③その他のドイツ観念論の思想家
・フィヒテ(1762~1814)
主著『全知識学の基礎』『ドイツ国民に告ぐ』
→カントの批判哲学から出発。認識と実践の両方を担う「自我」を提唱
・シェリング(1775~1854)
主著『人間的自由の本質』
→主観と客観は同一で、その背景に直観によって把握される絶対者が存在するとした