【Ⅰ 財政の機能と役割】
財政の機能……財政=政府の経済活動
資源配分機能……公共財(道路・公園・港湾などの財や、警察・消防・国防などのサービス)の供給
所得再分配機能……所得格差を是正(累進課税・社会保障制度)
景気調整機能……景気の安定化( ビルトイン・スタビライザー<自動的>、 フィスカル・ポリシー<裁量的>)
→中央銀行の金融政策と一体的に運用して景気を調整するポリシー・ミックスが行われる
❷ 国家財政[国会の議決が必要]
一般会計予算……政府の一般行政の予算で、国家の基本的な収入・支出を管理する会計
特別会計予算……年金など特定の事業を行うための会計→無駄な支出が指摘され、改革が進む
政府関係機関予算……日本政策金融公庫など特定の政府系金融機関の会計
財政投融資計画……特殊法人などの財投機関が資金を調達・運用(2001年の改革により縮小傾向)

【Ⅱ 租税の種類としくみ】
● 日本の税制……戦後、シャウプ勧告によって「直接税中心」となる
直接税所得税法人税など(納税者と担税者が同じ)……おもに所得や資産に課税
所得税の累進課税制度→所得再分配効果をもつ
間接税消費税、酒税など(納税者と担税者が異なる)……おもに消費(財・サービスの購入)に課税
逆進性をもつ

【Ⅲ 公債(国債)の発行】
❶ 公債の種類
建設公債(建設国債)……社会資本整備を目的に発行される国債
特例公債(赤字国債)……当面の財政不足を補うため発行。財政法上は禁止されており、特例法を制定して発行
→市中消化の原則……日銀直接引き受けの禁止
❷ 公債発行の問題点
財政の硬直化……歳出に占める国債費の割合が増加し、自由に使える予算が少なくなる
②国債残高の累増……将来世代の負担増大
③公債に対する信用不安……財政破綻のおそれ(財政危機)
→財政健全化に向けた取り組み……基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の黒字化が目標

【Ⅳ 財政における国と地方の役割分担と財政支出の効率化】
❶ 地方財政の役割…… 生活に密接に関連する分野への経費を支出→民生費(年金を除く)や衛生費などの多くを負担
❷ 公共事業・公共サービスの見直し……費用対効果分析に基づく事業の見直し、公共サービスの民間委託など