p356-362 南北問題と政府開発援助

327 南北問題(p.356)


おもに北半球に位置する先進国と、おもに南半球に位置する発展途上国との間の著しい格差から生じる問題。第二次世界大戦後、UNCTADなどが中心となり経済協力などを行ってきたが、発展途上国内でも格差が生じている。

328 南南問題(p.356)


発展途上国間の経済格差とその格差から生じる諸問題。資源保有国と非保有国との格差などが原因とされる。

329 累積債務問題(p.357)


累積債務とは、その国の返済能力からみて過大な水準にまで累積された一国の対外債務をいう。累積債務問題とは、特に発展途上国が先進諸国の政府や金融機関から借り入れた債務が累積して巨額に達していることをさす。

330 BRICS(p.358)


これから高い経済成長率が期待できるブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)、南アフリカ共和国(South Africa)の5か国の頭文字をとったものである。

331 NIEs(新興工業経済地域)(p.358)


1970年代以降、輸出産業を軸に急速な工業化を遂げ、高い経済成長率を達成している諸国・地域のこと。シンガポール、香港、台湾、韓国はアジアNIEsと呼ばれる。

332 資源ナショナリズム(p.359)


天然資源を保有する発展途上国で、先進国の大企業による生産と利益の独占を排除し、自国の発展のために資源を役立てようとする動き。組織的な取り組みとしては、OPEC(石油輸出国機構)やOAPEC(アラブ石油輸出国機構)がある。

333 NIEO(新国際経済秩序)(p.359)


発展途上国の経済発展や利益を重視した、国際経済の新しいあり方。1970年代前半、発展途上国が、不平等や経済格差をなくした新しい国際経済秩序の樹立を主張した。1974年に国連資源特別総会で採択された「新国際経済秩序(NIEO)樹立に関する宣言」に盛りこまれた。

334 UNCTAD(国連貿易開発会議)(p.359)


先進国と発展途上国との経済格差を是正し、発展途上国の経済開発を促進するために、1964年に設置された国連総会の常設機関。南北問題を解決することを目的としている。第1回の総会では、プレビッシュ報告がなされ、「援助よりも貿易を」というスローガンが生まれた。

335 OECD(経済協力開発機構)(p.360)


OEEC(欧州経済協力機構)が前身となり、経済成長、貿易自由化、途上国支援の3つを目的とした活動を行っている。

336 DAC(開発援助委員会)(p.360)


OECD(経済協力開発機構)の下部機関として、先進国の発展途上国に対する援助政策の調整機能を果たしている。OECD加盟国38か国のうち31か国とEUにより構成される。なお、DACはODA(政府開発援助)などに関する討議も行っている。

337 ODA(政府開発援助)(p.360)


先進国の政府や諸機関が、発展途上国に対し、経済の発展や福祉の向上を目的として行う援助のこと。無償資金協力や技術協力(贈与)などがあるが、グラント・エレメント(貸付条件の緩やかさを数値化したもの)が25%以上になる有償資金協力(借款)もODAに該当するとしている。