p254-260 主権国家と国際法

221 ウェストファリア条約(p.254)


1648年に締結された三十年戦争終結のための講和条約。ドイツの諸侯に同盟締結権を認め、オランダ・スイスの独立が認められた。これにより、神聖ローマ帝国は事実上崩壊し、主権国家を構成単位とする国際社会が形成された。

222 主権国家(p.254)


近代における独立国家の基本的枠組み。近代では、内政不干渉を原則として国家が存在し、国家は軍や警察を独占し、外交などの方針を決定する権限を有している。

223 グロティウス(1583~1645)(p.254)


オランダの法学者で「国際法の父」と呼ばれる。三十年戦争の惨禍を目の当たりにし、国家が従うべき国際法の必要性を説いた。主著は『戦争と平和の法』や『海洋自由論』。

224 主権(p.255)


政治社会における唯一・絶対・不可分の権力。16世紀にフランスのボーダンが定式化した。対内的には、統治権や最高意思決定権として、対外的には、国家権力の独立性の意味で用いられる。

225 ナショナリズム(p.255)


国民主義・国家主義・民族主義ともいわれる。民族や国家の独立・発展をめざすための思想。中央集権的な体制により教育・言語を統一して、国民として一つにまとまることに最高の価値を見出す。

226 国際法(p.256)


国際社会において国家間の関係を律するために適用される。形式により国家間で合意された内容を文章化した条約と、一定の行為の繰り返しから生まれた国際慣習法がある。

227 国際慣習法(p.256)


多数の国家間において繰り返し行われた慣行を法的に認めたもの。領土不可侵、公海自由の原則、内政不可侵、外交特権などがその代表である。

228 条約(p.256)


国家間で締結される合意文書。協約・協定・規約・議定書・憲章なども条約となる。条約は締結国を拘束し、締約国は国際法に基づき条約内容を履行しなくてはならない。

229国際司法裁判所(ICJ)(p.257)


国際連盟の常設国際司法裁判所を引き継ぎ、国際連合の主要機関としてオランダのハーグに設置された。国家のみ提訴可能で、紛争当事国双方の合意により開始される。総会と安全保障理事会で選挙された15名の裁判官により構成される。

230 国際刑事裁判所(ICC)(p.257)


2002年にオランダのハーグに設置。集団殺害(ジェノサイド)や人道に対する罪、戦争犯罪、侵略犯罪を行った個人を裁く常設裁判所。18人の裁判官で構成される。訴追は加盟国または安全保障理事会によるが、アメリカ、中国、ロシアなどが未批准である。

231 世界人権宣言(p.258)


1948年、第3回国連総会で採択されたすべての人民と国が達成すべき共通の基準。これは、法的拘束力をもつものではないが、各国の国内立法などに少なからぬ影響を与えている。

232 人種差別撤廃条約(p.258)


あらゆる形態の人種差別を撤廃する政策を加盟国に求める条約で、1965年に国連総会で採択された。日本は1995年に批准した。

233 国際人権規約(p.259)


1966年に国連総会で採択された人権保障についての法的拘束力を有する規約。A規約、B規約および3つの選択議定書からなる。

234 女子差別撤廃条約(p.260)


男女の完全な平等の達成を目的とする条約で、1979年に国連総会で採択。日本は1985年に批准。

235 子ども(児童)の権利条約(p.260)


1989年、国連総会で採択された子どもの人権を包括的に規定した条約。18歳以下のすべての子どもに対して、意見表明権など数多くの権利を保障。日本は1994年に批准。

236 障害者権利条約(p.260)


障害者の基本的人権を確保し、障害者の尊厳の尊重を目的とした条約で、2006年に国連総会で採択。日本は2014年に批准。