p126-132 経済社会の発展

108 資本主義経済(p.126)


土地や機械など資本の私有が認められ、企業の利潤追求の自由が保障された経済システム。18世紀末にイギリスの産業革命により確立した。

109 重商主義(p.126)


富とは金・銀であるという考えの下で、国内に金・銀が蓄積されることを推進する経済政策・経済思想。16~18世紀の絶対王政下のヨーロッパで主張された。金・銀の蓄積のために、輸出促進や輸入制限などが重視された。

110 産業革命(p.127)


蒸気機関の発明などの技術革新や工業化の進展によって、社会が劇的に変化したことをさす。18世紀後半にイギリスから始まり、その後に欧米諸国や日本にも波及した。

111 アダム=スミス(1723~90)(p.127)


18世紀のイギリスの経済学者・道徳哲学者。主著『国富論(諸国民の富)』において、富の源泉は労働であるという観点に立ち、重商主義の体系的批判を試みた。また、それぞれの個人の利己的活動が、結局は「見えざる手」に導かれ、本来は意図していなかった社会全体の福祉につながると説いた。

112 世界恐慌(p.128)


1929年、アメリカの株価大暴落をきっかけに世界中に波及した恐慌。1933年には失業率が25%にも達したアメリカでは、F=ローズベルト大統領によるニューディール政策によって、この危機的状況を乗り切ろうとした。一方、植民地をもつイギリスやフランスではブロック経済、植民地をもたないドイツや日本ではファシズムや軍国主義が台頭した。

113 ケインズ(1883~1946)(p.128,129)


イギリスの経済学者。主著『雇用・利子および貨幣の一般理論』において、有効需要の原理を提唱し、働きたくても職に就けない非自発的失業の発生要因を論証した。自由放任主義を批判し、政府の政策的介入の必要性を明らかにした。

114 有効需要(p.128)


貨幣の支出を伴う需要のこと。消費需要、投資需要、財政支出、純輸出からなっている。ケインズは、有効需要の大きさが社会全体の生産量、国民所得、雇用量を決定するとした。

115 混合経済(p.129)


資本主義における自由な経済活動を前提としつつ、社会保障、公共投資などを通じて、政府が市場に介入する経済体制のこと。私的経済部門と公的経済部門が併存する。

116 マネタリスト(p.129)


貨幣政策を重視する立場で、フリードマンを中心とする学派。長期的には、貨幣量の増加は生産量や雇用量に影響を与えず、物価上昇率だけに影響を与えると考え、インフレーションを制御するためには、一定の率で安定的に貨幣量を増加させるべきであるとした。

117 新自由主義(p.129)


市場メカニズムを信頼し、アダム=スミス以来の自由主義を支持する立場の考え方。ケインズ主義的な裁量的財政政策に反対し、「小さな政府」を理想とする立場で、1970年代に登場した。

118 マルクス(1818~83)(p.130)


ドイツの哲学者・経済学者。マルクス主義思想を創始し、その後の社会主義運動、労働運動に大きな影響を与えた。主著『資本論』において、資本主義には失業や恐慌が伴うと批判的に分析し、資本主義が、社会主義に移行するのは歴史的必然とした。

119 社会主義経済(p.130)


土地、労働、資本といった生産手段の公有制を基本とする経済システムであり、ソ連や東欧・中国などで採用された。国家の指令に基づいて生産や分配が行われる中央集権的な計画経済であるが、しだいに、労働意欲の低下や特権的官僚の支配などによって危機的停滞をまねくこととなった。

120 改革開放政策(p.131)


1978年に始まる鄧小平により推進された経済改革と対外開放政策の総称。人民公社の解体、郷鎮企業の設立、経済特区の設置など。課題を抱えつつも、中国の高成長を実現させた。

121 社会主義市場経済(p.131)


中国が始めた独自の経済システム。土地や資源など生産手段の公有制を維持しつつ、計画経済を改め、市場経済の活力を組みこもうとする試み。「改革開放政策」の成果を踏まえ、1993年に憲法を修正し、社会主義市場経済の実行が宣言された。

122 ドイモイ(p.131)


ベトナム語で刷新を意味する。1986年のベトナム共産党大会において提起された。経済の非効率性を改善するために、市場メカニズムや外国資本の導入によって経済の建て直しをめざした。