p87-95 裁判所の機能と司法制度

72 司法権の独立(p.88)


公正な裁判を行うために、司法権は裁判所に属し、裁判所は憲法および法律以外から支配・影響されないこと。裁判官の独立と裁判所の独立からなる。

73 国民審査(p.89)


直接民主制の一つで、憲法第79条の規定に従い、罷免したい裁判官に×印をつける。投票者の過半数が×印をつければ、その裁判官は罷免されるが、現在まで罷免された裁判官はいない。

74 三審制(p.90)


裁判の公平・慎重を目的として、原則として裁判を3回受けることが保障されている制度。最高裁判所が終審裁判所になる。

75 再審制度(p.90)


裁判で判決が確定したのちに、証拠が虚偽であったことが証明された場合や、新たな事実が判明して真実が明らかになった場合などには、裁判をやり直せる制度。

76 裁判の公開(p.90)


国民に裁判の傍聴を許可し、裁判を公開して行うこと。憲法で公開裁判の原則が定められているが、公序良俗を害するおそれがある場合には、裁判官の全員一致で対審を非公開にできる。

77 裁判外紛争解決手続(ADR)(p.91)


裁判によらずに、民事上のトラブルを解決する方法・手段のこと。和解の仲介(調停や斡旋)が該当する。公正な第三者が関与して解決を図る。

78 知的財産高等裁判所(p.91)


2005年に、知的財産権に関する事件を専門に扱う裁判所として設立された。知的財産高等裁判所は東京高等裁判所の特別支部とされている。

79 裁判員制度(p.92)


有権者が裁判員として、重大な刑事裁判の第一審に参加し、有罪か無罪か、また有罪の場合はどのような刑にするか(量刑)を裁判官と一緒に決定する制度。抽選された6名の裁判員と3人の裁判官により、多数決で決定する。ただし、被告人を有罪とするには、必ず裁判官1人以上が賛成していることが必要となる。

80 検察審査会(p.93)


有権者の中からくじで選ばれた11人の検察審査員が、検察官が被疑者を起訴しなかった事件に対して審査する制度。犯罪の被害者や犯罪を告発した人からの申し立てで審査を始める。2009年より、同一の事件で2回、検察審査員8人以上が起訴を支持した場合は、強制的に起訴されることになった。

81 違憲審査権(p.95)


法律などが憲法に違反していないか審査する権限。日本はアメリカ型の付随的違憲審査制を採っている。最高裁判所のほか、下級裁判所も違憲審査権をもっている。

82 統治行為論(p.95)


国家機関の行為のうち、軍事・外交など、高度な政治的判断を必要とする行為は、裁判所の司法の審査にはなじまないとする考え方。最高裁では、砂川事件、苫米地事件などの裁判で、違憲審査を回避するための根拠とされた。