p80-86 内閣の機構と行政

59 首相公選制(p.80)


国民が首相を直接選挙で選ぶ制度。首相公選制は、議会と首相との対立などから、かえって政治が不安定化するという指摘もある。

60 国務大臣(p.81)


内閣を構成する大臣のこと。国務大臣は文民でなければならない。また、内閣総理大臣がその他の国務大臣を任免でき、その過半数は国会議員でなければならない。

61 衆議院の解散(p.82)


日本国憲法は衆議院の解散を定めている。憲法第69条の内閣不信任決議案が可決された場合のほか、憲法第7条の天皇の国事行為への助言と承認という手続きによって、内閣が裁量的に解散できる。

62 委任立法(p.83)


行政機関が法律の委任によって立法行為を行うこと。社会の複雑化や国家の役割の拡大などにより、議会がすべての立法を行うことが困難になっていることが委任立法の増加の要因とされる。行政権の肥大化を懸念する声もある。

63 官僚制(p.83)


行政組織のような規模の大きな組織を管理・運営するのに適した管理システムとされる。一方で、規則に基づく運営や専門分化といった特徴が、杓子定規な対応や縦割りなどの弊害を生みやすいことも指摘されている。

64 行政手続法(p.83)


1993年に制定され、許認可や行政指導、不利益処分の手続きを明確化することが定められている。2005年の改正で、命令(省令や政令)を定めるときは、事前に意見公募手続(パブリック・コメント)を求めることが定められた。

65 許認可権(p.83)


行政機関が規制のために行う許可や認可の権限のこと。本来は経済活動の公正や国民の権利の保護などを目的とするが、経済活動の活発化を阻害したり、既得権の維持が優先されやすいといった批判もある。

66 天下り(p.84)


公務員が退職後に、勤務していた行政機関と関係のある企業や特殊法人などの幹部として再就職すること。行政の公正さを妨げる可能性があることや、巨額の退職金を得ながら企業を渡り歩くことなどが問題になっている。

67 行政委員会(p.85)


政治的中立性が求められる分野について、内閣からある程度独立して設置される合議制の行政機関。準司法機能と準立法機能をもつ。

68 オンブズマン(p.85)


行政機関を外部から監視するための職。日本では公的機関として条例等によって定められた公的オンブズマンと、市民がみずから組織した任意団体である市民オンブズマンとがあるが、国レベルでは導入されていない。

69 独立行政法人(p.85)


各府省の行政活動から事務・事業の一部を分離し、これを担当する機関に独立の法人格を与えたもの。業務の質向上や活性化、効率性の向上、自律的な運営、透明性の向上を目的としてつくられた。

70 特殊法人改革(p.86)


特殊法人に対して、「民間企業を圧迫している」、「天下り先になっている」などの批判が高まる中で、2001年に成立した小泉内閣では、構造改革の柱として道路公団民営化や郵政民営化をはじめとする改革が実行された。

71 三公社の民営化(p.86)


日本専売公社、日本電信電話公社、日本国有鉄道という3つの公共企業体が民営化されたこと。1981年に発足した第2次臨時行政調査会で民営化が提言され、1985~87年に中曽根内閣の下で実施された。