p150-157市場の失敗と政府の役割

p.150❓独占のそれぞれの形態には、どのような特徴があるか

【解答例】

カルテルとトラストは、同一産業内において行われる独占の形態である。一方、コンツェルンは持株会社が中心となり、さまざまな産業分野の企業を傘下におさめて支配している点に特徴がある。なお、カルテルは複数の企業が生産量や価格などについて協定を結ぶのに対して、トラストは競争を回避するために同一産業同士の企業が合併して1つの巨大企業となる。


p.151❓それぞれの価格の事例には、どのような財があてはまるか

【解答例】

寡占価格の事例:ビールやカップ即席麺類などがあてはまる。寡占市場となっている商品について発生しやすい。
管理価格の事例:日本においては、携帯電話料金が具体例としてわかりやすい。一社が新たな料金プランを発表すると、他社も同様の料金プランをすぐに発表する事例が代表的な例といえる。
統制価格の事例:公共料金(水道料金や鉄道運賃、公衆浴場の料金など)が該当する。例えば、公衆浴場の料金は、公衆衛生上、誰もが利用できるように安い料金設定となっている。

【解説】

公衆浴場の料金は、都道府県ごとに設定されている。例えば2023年1月現在の大人料金は、東京都で500円、大阪府で490円、最も安いのは佐賀県で280円である。


p.151❓非価格競争は、消費者にどのような影響をもたらすのか

【解答例】

消費者がデザイン性に優れた商品を手にすることができることや、充実したアフターサービスを受けることができるといった利点がある。しかし、これらのサービスの提供や広告宣伝費にかかる費用は価格に転嫁されることになり、結果的にその費用を消費者が負担することになる。したがって、価格の上昇という面では消費者に悪影響をもたらす。


p.151❓プラットフォーム企業に対する法規制のあり方はどうあるべきか

【解答例】

プラットフォーム企業が活躍する業種は、大量のデータ(ビッグデータ)を解析することでサービスの向上につとめており、寡占化しやすい傾向にある。プラットフォーム企業が優越的地位を利用して出品者や消費者に不利益をもたらしたり、新規参入者を排除したりする行為はあってはならない。一方で、これらの企業がもたらす技術革新によって消費者が日々の生活で利便性を享受していることも事実である。また、市場原理に基づくならば、政府による規制は産業の発展を阻害しかねないとも考えられる。産業の発展を阻害する規制は、日本の国際競争力を低下させる面もあることも忘れてはならない。これらの両面に配慮した法規制がのぞまれる。


p.154❓公的保険による医療や介護サービスは公共財といえるのか

【解答例】

公共財とはいえない。医療や介護サービスの利用は競合するうえに排除も可能だからである。

【解説】

p.154欄外「ZOOM」の「公共性のある財と公共財の違い」の記述も参考にしよう。医療や介護サービスも公共性が高いサービスであるため、公的保険により実施されているが、必ずしも公共性のある財=公共財となるのではない。


p.155❓情報の非対称性を解消するためには、どのような方法があるか

【解答例】

情報の非対称性を解消するために、政府が情報をもつ側に情報公開を義務化したり、販売についての許認可や資格認証を行う制度を導入したりすることが考えられる。そのような対応によって、当事者が安心して取引することができるようになる。例えば、要指導医薬品や第1類の市販薬は、薬剤師が他の薬や食品との飲み合わせや副作用などを確認したうえで販売しなければならない。