p104-115政党政治と選挙制度

p.104❓政党の特徴にはどのような変遷がみられるのか

【解答例】

特定の階層やグループから支持された政党から、より幅広い階層やグループから緩やかな支持を集める政党へと変遷してきた。


p.105❓日本の女性議員が増えないのは、どのような原因があると考えられるか

【解答例】

女性の社会進出を阻むジェンダー観が根強く、労働分野などさまざまな場面でみられるジェンダー・ギャップなどもあり、こうした社会環境が政治分野における男女共同参画に向けた改革を阻んでいるため。

【解説】

例えば「候補者男女均等法」を例にしても、罰則規定がなく努力目標に過ぎないことから、衆議院の女性議員比率は諸外国と比べて極めて低いままである。2003年に男女共同参画推進本部が「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」という目標を定めたが、実現できていない。一方でジェンダー・ギャップにつながる問題として指摘されている夫婦同姓や、女性労働者の半数以上が非正規雇用労働者であるといった問題については改善がなされないなど、政治にジェンダー・ギャップを解消していこうとする具体的な動きが乏しいことなどが根本的な原因である。


p.107❓圧力団体の役割とは何か

【解答例】

国民(住民)の意思を政治に反映させるために、業界や労働者などの利害関係者により団体を組織し、政策に反映させるために政治家や官僚に働きかけること。

【解説】

国民(住民)の意思を政策に反映させるはたらきを持つ圧力団体は、いわゆる「政治とカネの問題」が繰り返されてきただけでなく、圧力団体のはたらきかけによる政策立案は有権者から見えにくく不透明な面がある。圧力団体が政治家や官僚に対してどのようなはたらきかけをし、政策にどの程度反映されたのかを透明化する制度の構築が求められている。


p.107❓政治資金規正法には、どのような課題があるのか

【解答例】

企業や圧力団体などからの資金の流れが完全に透明化されていないこと、政治資金収支の虚偽記載などの不正がたびたび繰り返されるなど、「規制と監視と罰則」が緩い制度となっていること。

p.108❓日本の選挙権の拡大はどのように推移してきたのか

【解答例】

1890年に行われた日本で初めての衆議院議員選挙での有権者は国民のわずか1%に過ぎなかったが、1925年の「男子普通選挙」、1945年の女性参政権の保障、2015年の選挙権年齢の18歳への引き下げなどを経て、段階的に有権者は増えていった。


p.109❓各選挙制度の短所はどのようにしたらおぎなうことができるのか

【解答例】

長所と短所と補うことのできる選挙制度を組み合わせるほか、日本の投票方法は単記式が多いが、諸外国のように連記式を導入するなどの工夫により、民意がより反映される選挙制度にしていく必要がある。


p.110❓公職選挙法の改正によって、どのようなことが認められるようになったのか

【解答例】

最近では、期日前投票制度、在外投票制度、インターネットを使った選挙運動(いわゆる「ネット選挙」)、共通投票所の設置などが認められた。

【解説】

「ネット選挙」と呼ばれるものは、インターネットで投票できるようになったことではないこと、電子メールの利用やインターネット広告の利用などで全面的に可能になったわけではないこと、そもそも18歳未満は選挙運動が認められていないことなどに注意が必要である。


p.111❓衆議院と参議院の選挙制度は、どのようなところが異なっているのか

【解答例】

衆議院は小選挙区制であるのに対し、参議院は小選挙区と大選挙区が混在していること。また比例代表のしくみも、衆議院は全国11ブロックでの拘束名簿式比例代表制とし、選挙区との重複立候補を認めている。一方で参議院では、全国単位での非拘束名簿式比例代表制であり、選挙区との重複立候補は認めていない。また、最近の公職選挙法改正により、参議院の比例代表制において「特定枠」の設定が可能となった。


p.113❓なぜ得票率と議席占有率に差が出るのだろうか

【解答例】

小選挙区制では死票が多く出るため、得票率と議席占有率に差が出やすい。一方、比例代表制では死票が出にくいため、その差が出にくい。


p.114❓一票の格差はなぜ是正すべきなのか

【解答例】

憲法において保障されている「法の下の平等」に反するため。


p.114❓有権者数の世代間格差が広がると、どのような問題が生じるのか

【解答例】

日本では、有権者数の少ない若者の意見が政治に反映されにくく、いわゆる「シルバー民主主義」と呼ばれる問題が発生してしまう。

【解説】

「シルバー民主主義」において若者は、政治への無力感や無関心を持ちやすくなり、若者世代の低投票率につながっているとの指摘もある。