p96-103地方自治制度と住民の権利
住民自治と団体自治の2つを意味する。
大日本帝国憲法では、中央集権型の統治を意図していたことから、地方自治の規定はなかった。一方、日本国憲法では、国政では取り入れていない直接民主制の規定を設けるなど、地方自治制度を明確に規定した。
二元代表制を採っていることから、三権分立の「抑制と均衡」を機能させることができる。
行政事務の執行について国の関与を強く受け、地方自治の本旨にそぐわなかったため。
地方自治の本旨のうち「住民自治」を実現させ、住民の意思が地方公共団体の政治に反映されやすくするため。
地方自治の本旨のうち「団体自治」を実現させ、国から独立して地方公共団体の住民の意思を反映させるため。
賛成の考え方:特別区は税の徴収権や条例制定権を持てるようになり、区長も公選となる。そのため、区民の意思によって行政が行われやすくなるとともに、地域の事情に沿った行政サービスも展開しやすい。したがって、地方行政の効率化とサービス向上を図る手段として特別区を設置した方がよい。
反対の考え方:特別区の設置によって効率化やサービス向上が果たされるかは疑問であり、わざわざ特別区を設置せずとも、例えば現行の大阪府と大阪市の枠組みでも行政の効率化を実現させることは可能である。さらに、特別区ごとの財政基盤の違いによる行政サービスに差が出る可能性があることから、特別区は設置しない方がよい。
二重行政の解消や行政サービスの効率化は、これからの厳しい財政状況を考えると必要なことであるが、現行の大阪府と大阪市の枠組みの中でその実現を求める声は昔からあった。こうした問題を府議会・市議会で検討させるためには、まず有権者が問題意識を持って、知事や市長、府議会議員・市議会議員選挙で投票することが重要で、単に特別区を設置して解決できるものでもない。一方、「行政サービスの効率化」といいつつ、住民にとって必要な行政サービスが切り捨てられている現状もある。人口が減少していく中で、私たちの生活に身近な公共サービスを提供する地方自治体のあり方は、ますます注目されていく必要がある。
人口減少がますます進む中で、行政コストの効率化を図る必要があったため。
地方分権を進め、地方の特性や事情に適した行政が求められたため。
自主財源が少ないことや、地方債に頼る割合が大きいこと、また、過疎化が進む自治体では財政破綻が起き、一方で「ふるさと納税」により多額の税収を失っている地方公共団体が存在するなど、財政難が顕在化していること。
地方公共団体の財政難は過疎地域に限定した問題でなく、最近では「ふるさと納税」による税収流出について、おもに都市部の地方公共団体が国に問題提起しており、国の財政問題だけでなく、地方公共団体の財政問題もあわせて考えていく必要がある。