p75-79国会の組織と立法
三権を分立させて、国会・内閣・裁判所の抑制と均衡のしくみにより行われている。国会は内閣や裁判所に優越するわけではないが、主権者である国民を直接代表する国会が国権の最高機関と表現されている。
衆議院は参議院に対して、法律の制定・内閣総理大臣の指名・予算の議決・条約の承認では優越が定められ、内閣不信任の決議権は衆議院だけに認められている。その他の面においては対等であるため「ねじれ国会」が問題になることがある。
事実上、国民が国会の多数派形成を通じて政権を選ぶ議院内閣制の日本では、党議拘束が不可欠となる。そのため、衆議院と参議院の多数派政党が異なる場合には、ねじれ国会が問題となる場合がある。日本と似た議院内閣制の国としてあげられることのあるイギリスは、上院の政治的権限が弱く、ねじれ国会の問題がおきにくい。
議院内閣制では、議会の多数派が内閣を組織するため、内閣提出法案は成立しやすい。このため、議員提出法案の成立率は相対的に低くなるから。
法案はまず、先議の議院(予算以外は衆参どちらでもよい)の議長に提出され、委員会での審議を経て可決されると本会議に送られる。議決されると後議の議院へ送られ、後議の議院でも同様に可決されると成立し、閣議決定を経て天皇の国事行為として公布される。
後議の議院で修正された場合は先議の議院へ回付され、後議の議院で否決された場合は先議の議院へ返付される。返付された場合、先議の議院が衆議院であった場合は3分の2以上の賛成で再可決すると成立する。先議の議院がいずれの場合でも両院協議会を開くことができ、両院協議会で合意した場合は、合意した内容を再度両議院で議決を行うと成立する。
委員会で詳細に検討した議案などを本会議へ送ることで、能率的な運営を可能にするはたらきがあると考えられている。
三権分立の厳格なアメリカでは、委員会の詳細な議論を通じて与野党間で法案を修正していくことが意図されているが、議院内閣制の日本では、与党案が基本的に可決されるため、本来の委員会の役割を果たせていないという指摘もある。
任期が短く解散があり、定数が多いことなどの理由で、国民の意見をより反映できると解釈されているから。
ただし、憲法などに理由が明記されているわけではない。
憲法の定める国政調査権に基づいて行われるのが証人喚問であり、強制力がある。参考人招致は強制力を伴わない。
任期満了、衆議院の解散、資格争訟裁判によって議席を失った場合、署名処分を受けた場合、被選挙権を喪失した場合などがある。