日本国憲法の語句解説
●朕 天皇が自分をさしていうことば。 日本国憲法になってからは「私」と自称するようになった。
●枢密顧問 明治憲法下で,重要な国務について天皇の諮詢に応える機関である,枢密院の構成員。天皇によって任命された。
●諮詢 意見を聞くこと。
●裁可 明治憲法下で,天皇が帝国議会の議決した法律案や予算を成立させること。
●御名御璽 天皇の名前と印。
●恵沢 恩恵を受けること。
●主権 国家の政治のあり方を最終的に決める権利。
●信託 信用して任せること。
●権威 他人に強制し,服従させる威力。
●権力 支配者が被支配者に服従を強要する力。
●福利 幸福と利益。
●人類普遍の原理 全人類にあてはまる根本的な原則のこと。
●法令 法律・命令・規則などの総称。
●詔勅 天皇が意思を表示する文書。
●隷従 ある者の支配に属してその言いなりになること。
●偏狭 度量の狭いこと。
●象徴 シンボル。抽象的な目に見えないものを,目に見えるもので表すもの。例:平和→鳩
●世襲 地位・財産・職業などを子孫が代々受け継ぐこと。
●皇室典範 皇位継承・皇族・摂政・皇室会議など,皇室に関係ある事項を定めた法律。
●国事行為 天皇が国の仕事として行う一定の行為。
●権能 ある事柄を行使できる能力。権限。
●摂政 天皇に代わって国事行為を行う職。
●任命 職務を命ずること。
●政令 内閣の制定する命令。憲法や法律の規定を実施するためのものと,法律の委任した事項を定めるためのものがある。
●公布 成立した法律・命令・条約を発表し,国民に広く知らせること。
●全権委任状 国際会議などで特定事項に関して外交交渉を行う全面的な権限を与えることを記して,元首が外交使節に交付する公文書。
●信任状 大使・公使などの外交使節が正当な資格をもつことを示した公文書。
●認証 ある行為や文書の作成が,正当な手続き,方式で行われたことを公の機関が証明すること。
●大赦 恩赦の一種。政令で定めた罪に対して,刑罰の執行を赦免すること。
●特赦 恩赦の一種。特定の犯人に対して刑の執行を免除すること。
●栄典 栄誉を表すために与えられる地位や勲章など。
●批准 国家間で結ばれた条約を確認し,それに同意すること。
●接受 受け入れること。
●賜与 与えること。
●基調 根底にある基本的傾向。
●希求 願い求めること。
●国権 国家の権力。
●戦争 武力による国家間の闘争。
●威嚇 おどかし。
●武力の行使 正式の戦争以前の段階での戦闘行為。
●戦力 戦争を遂行できる力。
●交戦権 国家が戦争をなしうる権利。
●要件 必要な条件。
●享有 生まれながらに身に受けてもっていること。
●公共の福祉 社会全体の共同の幸福。
●信条 かたく信じることがら。宗教的信仰,政治的信念,世界観などのこと。
●門地 家柄。
●華族 明治憲法下で,公・侯・伯・子・男の爵を授けられた者とその家族。
●罷免 その職をやめさせること。
●普通選挙 身分・性別・教育・信仰・財産・納税などで差をつけることなく,一般の成年者に選挙権を認める選挙。
●請願 願い出ること。
●不法行為 故意または過失によって他人の権利を侵害し,他人に損害を与えること。
●苦役 苦しい労働。
●結社 多数の人が特定の目的のために団体を結成すること。
●検閲 信書・出版物・映画などの内容を強制的に検査すること。
●婚姻 結婚すること。
●両性の本質的平等 男性と女性とが,人間として同じ価値をもつこと。
●社会福祉 貧困者や保護を必要とする人々に対する援護・育成・更生を図ろうとする公私の社会的努力を組織的に行うこと。
●公衆衛生 国民の健康を保持・増進させるため,公私の保健機関や地域組織などによって行われる組織的な衛生活動。
●普通教育 社会人として,人間として一般共通に必要な知識・教養を与える教育。
●団体交渉 労働組合が労働条件について使用者と交渉すること。
●団体行動 使用者と対等の立場で交渉するための行動。ストライキ・デモ行進など。
●財産権 経済的利益を目的とする権利。
●現行犯 行為中または行為直後に見つけられた犯罪。
●司法官憲 司法権の行使に関与する公務員。ここでは裁判官のこと。
●令状 強制処分の判決・決定・命令を記載した裁判書。ここでは逮捕状のこと。
●抑留 比較的短期間,身体の自由を拘束すること。
●拘禁 留置場・刑務所などに留置し,比較的長期間,身体の自由を拘束すること。
●捜索 裁判官・検察官・司法警察職員が,証拠物件または犯人を発見するため,強制的に家宅・身体・物件などについて探し求めること。
●押収 裁判所が証拠品を差し押さえ,取り上げること。
●拷問 肉体に苦痛を加えて自白を強いること。
●刑事事件 刑罰を科すべきかどうかが問題となる事件。
●被告人 検察官から罪を犯した疑いによって訴えられた者。
●審問 裁判所が審理のために書面または口頭で問いただすこと。
●供述 尋問に答えて事実や意見を述べること。
●自白 自分の犯罪事実を認める意思表示。
●遡及 過去にさかのぼること。
●一事不再理 すでに判決が確定した事件について,再び訴訟できないという原則。
●国権 国家の権力。
●解散 衆議院の全議員に対して,その任期が終わる前にその資格を奪う行為。
●国庫 国家財政の収入・支出を扱うところ。
●歳費 議員に毎年支払われる給料。
●表決 議案に対する賛否の意思を表すこと。
●常会 毎年定例として開かれる国会。通常国会のこと。国会法では,毎年1月中に召集され,会期は150日と定められている。
●総選挙 衆議院議員の任期満了・解散によって,全定数について行われる選挙。これに対して参議院の選挙は,通常選挙と呼ばれる。
●争訟 訴訟を起こして争うこと。
●頒布 広くゆきわたるように分けて配ること。
●役員 国会法第16条によると,議長・副議長・仮議長・常任委員長・事務総長をいう。
●懲罰 不正または不当な行為に対して制裁を加えること。
●予算 一会計年度(4月から翌年の3 月まで)の国または地方公共団体の収入・支出の計画。
●条約 国家間の合意で,法的拘束力をもつもの。
●締結 条約や契約を取り結ぶこと。
●訴追 弾劾の申し立てを行い,裁判官の罷免を求める行為。
●弾劾 罪状を調べ,あばくこと。
●行政 司法以外で,法の下において公の目的を達するためにする作用。
●首長 組織・団体の長のこと。
●文民 軍人でない人。職業軍人の経験をもたない人。
●連帯 二人以上の人が連合して事にあたり,責任を共にすること。
●案件 議題とされることがら。
●不信任 信用せず,物事を任せないこと。
●総辞職 内閣総理大臣以下,全国務大臣が辞職すること。
●欠缺 ある要因が欠けていること。
●国務 国家の仕事。
●行政各部 財務省・経済産業省などの各省庁のこと。
●総理 事務を統一して管理すること。
●時宜 その時の事情。
●官吏 公務員のこと。
●掌理 取り扱って処理すること。
●連署 同一の書面に二人以上が並べて署名すること。
●下級裁判所 最高裁判所(上級裁判所)以外の裁判所で,高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所をさす。
●特別裁判所 特殊の人・事件について裁判権を行使する裁判所。家庭裁判所のように,最高裁判所の下にある下級裁判所として設置されるものは特別裁判所に入らない。明治憲法下の軍法会議・行政裁判所などをいう。
●終審 審級制度において,それ以上は上訴できない最終の裁判所の審理。
●職権 職務上,もっている権利。
●訴訟 法律を適用することで原告・被告間の権利義務や法律関係を確定することを,裁判所に求める手続き。
●検察官 犯罪を捜査し,公訴を行い,裁判の執行を監督する行政官。
●懲戒 不正・不当な行為に対して制裁を加えること。裁判官の場合,戒告・過料にあたる。
●対審 被告・原告など裁判に関係する人々を対立させて行う取り調べ。民事訴訟における口頭弁論,刑事訴訟における公判手続きのこと。
●租税 国家または地方公共団体が,その必要な経費をまかなうために,国民から強制的に徴収する収入。
●債務 借金を返すべき義務。
●予見 まえもって知ること。
●計上 計算に入れること。
●公金 公のお金。
●便益 都合がよく利益のあること。
●会計検査院 国の収入・支出の決算を検査し,その他法律に定める会計の検査を行う機関。
●地方公共団体 都道府県・市町村・特別市・特別区・地方公共団体の組合,財産区などのこと。
●本旨 本来の趣旨。
●吏員 地方公務員。
●条例 地方公共団体がその管理する事務に関し法令の範囲内でその議会の議決によって制定する法。
●特別法 ある特定の地域・人・事項または行為に適用される法律。
●発議 議案を提出すること。
●条規 条文の規定・規則。
●起算 数え始めること。