●天皇大権(→p.80) 大日本帝国憲法に規定されていた天皇の政治上の権限。統治権のほかに,国務大権,軍の最高指揮権である統帥大権,皇室大権(憲法によらず皇室典範で規定)に分類される。
●臣民の権利(→p.80) 大日本帝国憲法の下で,臣民(国民)に認められていた諸権利。臣民の権利は,主権者としての天皇の「臣民」として,恩恵的に与えられた権利で,「法律ノ範囲内」で保障されていたため,きわめて不十分なものであった。
●法律の留保(→p.80) 法律に基づく限り,自由や権利に対して必要な制限を加えることができること。
●欽定憲法と民定憲法(→p.80) 欽定憲法は,君主主権の思想の下,君主が自分の自由な意思の発動に基づいて制定した憲法で,大日本帝国憲法やプロイセン憲法がその代表例。民定憲法は,国民主権の思想に基づいて,国民が制定した憲法のことをいい,日本国憲法がこれにあたる。
●ポツダム宣言(→p.81) 1945年7月26日,連合国側が,米・英・中の名で日本に無条件降伏を促した文書。軍国主義勢力の除去,日本の占領,戦争犯罪人の処罰,日本の民主化などの諸原則が含まれていた。日本は,ポツダム宣言は天皇制の変更を含まないという判断の下で,同年8 月14日に受諾した。
●マッカーサー三原則(→p.81) GHQ民政局に憲法の草案作成を指示した際,マッカーサーが示した三原則。天皇は国の最上位,戦争の放棄,封建制度の廃止をその内容とする。
●日本国憲法の改正手続き(→p.83,142) 憲法第96条で「各議院の総議員の3分の2以上の賛成で,国会が,これを発議し,国民に提案してその承認を経なければならない」と規定されており,硬性憲法の立場をとっている。2007年には,憲法改正のための国民投票の手続きを定めた国民投票法が成立した(2010年施行)。