p66-69 用語解説

主権(→p.67,160,163) 国内的には統治権,最高意思決定権を意味し,対外的には国家権力の独立性を意味する。フランスの思想家ボーダン(1530~96)が『国家論』で定式化した。

国家(→p.67,160) 国家が成立するための要素は,領域(領土・領空・領海),国民,主権,他国からの承認(外交能力)といわれる。ドイツのイェリネック(1851~1911)は領域,国民,主権をもって国家の三要素とした。

社会契約説(→p.68) 近代の自然法思想に基づいて,人間には生命・自由・財産などを維持する権利(=自然権)があり,その自然権を守るために,人々が自由な意思で契約して国家をつくったとする政治思想。

万人の万人に対する闘争(→p.68) イギリスのホッブズ(1588~1679)の社会が成立する以前の自然状態を表現したことば。ホッブズは,資源は有限であるので,自然状態では各人は必ず対立しあうと考えた。

抵抗権(革命権)(→p.68) イギリスのロック(1632~1704)が,自然権を侵害するような権力の濫用に対して認めた,人民が抵抗する権利。この考えは,アメリカ独立宣言にもとり入れられている。

一般意思(→p.68) 社会共通の幸福を求める全人民の意思。フランスのルソー(1712~78)は,各人がすべての権利を共同体に譲渡し,一般意思による社会契約を結び,国家をつくると主張した。

多数者の専制(→p.69) 民主主義において多数者が少数者の意見を抑圧することをいう。トクヴィルがアメリカの民主主義を観察して唱えた。その後,J.S.ミルが『自由論』などで洗練させ,その予防策を提案している。