p62-65 用語解説

権利章典(→p.63) 1688~89年の名誉革命によって王位についたウィリアム3世とメアリ2世が,議会の議決した「権利の宣言」を認め,法律として公布した文書。「王は君臨すれども統治せず」というイギリスの立憲君主制の基本的原則を確立した。

バージニア権利章典(→p.63) アメリカ独立戦争に際し,バージニアがほかの植民地に先駆けて憲法起草委員会を組織し,採択した権利章典。自然法思想を成文化したもので,人権宣言の先駆けといわれる。

アメリカ独立宣言(→p.63) アメリカの植民地政府が,イギリスから独立することを宣言した文書。ロックの思想が色濃く反映されており,国家レベルで自然権や抵抗権など民主主義の基本思想が,明確に規定された世界最初の文書である。

フランス人権宣言(→p.63) フランス革命の根本精神である,「自由・平等・友愛」の精神が明らかにされた文書。国民主権,人権の不可侵,所有権の保障,権力分立などが規定されている。

ワイマール憲法(→p.63) 第一次世界大戦の敗戦国であるドイツが,共和国として再生するにあたって,最初の国民会議で採択した憲法。財産権の限界や生存権,団結権の保障など,社会権的基本権を明記した最初の憲法であり,20世紀的憲法の典型とされる。

世界人権宣言(→p.64) 1948年12月10日,第3回国連総会で採択されたすべての人民と国が達成すべき基本的人権の共通の基準。ただし,法的拘束力はもたない。

国際人権規約(→p.64) 1966年に国連総会で採択された人権保障について法的拘束力をもつ規約。A規約(社会権的規約),B規約(自由権的規約)および死刑廃止条約を含む3つの選択議定書からなる。

女子差別撤廃条約(→p.64) 1979年,国連総会で採択された「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」の略称。日本は,男女雇用機会均等法の施行,家庭科における男女共修などの教育課程の改善,国籍法における父系優先主義の是正などの国内法の整備をおこない,1985年批准。

子どもの権利条約(→p.64) 1989年,国連総会で採択された子どもの人権を包括的に規定した条約。18歳未満のすべての子どもに,おとな同様の基本的人権を保障し,意見表明権などの子ども特有の権利も数多く規定している。日本は1994年批准。

死刑廃止条約(→p.65) 1989年,国連総会は「死刑廃止を目指す国際人権B規約第2選択議定書(死刑廃止条約)」を採択。日本は,「死刑廃止は各国の国民感情や犯罪様態を考慮して検討すべき」とし,条約には未加入。