●功利主義(→p.42) 社会の最大幸福を目的とみなし,個人の行為や政策などが,この目的の増進に対して,どの程度貢献しているかを正しさの基準とする考え方。
●ベンサム(1748~1832)(→p.43) 功利主義の祖。彼は,イギリス経験論の伝統に則りながら,功利主義の立場から,個人の幸福と社会全体の幸福との調和を図ろうと「最大多数の最大幸福」を道徳,さらには政治の原理にすることを提唱した。主著『道徳および立法の諸原理』。
●J.S.ミル(1806~73)(→p.43) イギリスの功利主義哲学者,経済学者。彼は,ベンサムの功利主義を受け継ぎながら,量に代わる質の功利を主張した。また,当時のイギリスの政治,社会状況の改革をめざして『自由論』を著し,自由主義社会のあるべき姿を模索した。
●カント(1724~1804)(→p.44) ドイツの哲学者。イギリス経験論と大陸合理論を統合した批判哲学を展開し,近代哲学の発展に大きく寄与した。主著『純粋理性批判』では「人間は何を知り得るか」に,『実践理性批判』では「人間は何をなし得るか」に答えようとしている。
●道徳法則(→p.44) カントの用語。因果律に縛られた自然法則とは対照的に,実践理性がみずから立ててみずからの行為を導くもの。そこには,因果律を越えた自由が存在する。この道徳法則は,「~すべし」という無条件の命令として課せられる。