p272-279 用語解説

マネーストック(→p.274) 市中に出回っている通貨の量。現金通貨と預金通貨(M)に,定期性預金とCD(譲渡性預金)を加えた額(M)である。

マネタリーベース(→p.274) 現金通貨(紙幣・硬貨)と市中銀行が中央銀行に預けている当座預金残高の合計。中央銀行が直接コントロールできるもので,ハイパワードマネーともよばれる。日本では,「異次元の金融緩和」によって急増した。

公開市場操作(→p.275) 中央銀行が国債などの債券を公開市場で売買することによってマネーストックを調節する金融政策。不況期には買いオペレーション,景気過熱期には売りオペレーションを実施する。金融自由化後は,金融政策の中心となった。

コールレート(→p.275,277) 銀行間の資金貸借における金利。市中銀行は,日本銀行に預金口座をもち,銀行間の資金移動に用いているが,資金が不足したときには,資金の余裕がある銀行から資金を調達する。この銀行間の金融市場をコール市場といい,そこでの金利がコールレートである。最も用いられているのが,無担保コール翌日物(無担保で融資し,翌日には返済を受ける)であり,その金利は中央銀行が公開市場操作によって調整する政策金利となっている。

ゼロ金利政策(→p.277) 銀行同士がお金を貸し借りするコール市場に,日本銀行が大量の資金を供給し,コール市場の金利(コールレート)をほぼゼロに近づける金融政策。銀行は,手数料を除けば金利なしで資金が調達できるため,企業への融資がしやすくなり, 景気が刺激される。日銀は1999年にゼロ金利政策を導入し,2000年に解除したが,同年末からは量的緩和政策をはじめ,2006年までゼロ金利が続いた。リーマン・ショック後は,先進各国でゼロ金利政策がとられ,日本でも2010年に実質上のゼロ金利を復活させた。

量的緩和政策(→p.277) 日銀当座預金(民間金融機関が日本銀行に預けている当座預金)の残高を,買いオペなどにより増額し,金融機関が潤沢な資金をもつことで景気刺激をはかる政策。2001年からとられ,2006年,デフレが払拭されたとして解除された。