●恐慌(→p.255) 不景気の程度のはなはだしいもの。恐慌によって,企業倒産が増加し,大量の失業者が生まれ,価格は急激に下落し,デフレ状態となる。マルクスは過剰生産を恐慌の原因としたが,ケインズは有効需要の不足に恐慌の原因を求めた。
●自由放任政策(レッセ・フェール)(→p.255) 政府は,民間企業の活動に介入すべきではないとするアダム= スミスの主張。スミスは,国家権力と結びついたそれまでの重商主義政策を批判し,個人の「利己心」に委ねておけば,「見えざる手」がはたらき,予定調和が保たれるとした。こうした考え方は,のちに「夜警国家」とよばれた。
●修正資本主義(→p.256) 20世紀になると,資本主義が生み出した弊害(恐慌・失業,貧富の差の拡大など)に対し,国家が積極的に介入するようになった。このため,それまでの民間部門中心の資本主義は変質し,民間部門とともに公共部門が併存する新しい資本主義体制が生まれた。これを修正資本主義とよぶ。また,私的経済部門と公的経済部門が混在することから混合経済ともいわれる。
●小さな政府(→p.256) 政府の役割は,小さくあるべきだとする考え方。19世紀までの支配的考え方で,経済活動は基本的には市場機構に委ねておけばよく,政府の活動は道路・国防・警察など最低限のことに限定すべきであるとされる。
●大きな政府(→p.256) 政府の役割は,大きくあるべきだとする考え方。政府が経済活動に積極的に介入することで,恐慌や失業が発生しないようにし,福祉国家をめざす。大恐慌以降,特に第二次世界大戦後,多くの支持を集めるようになった。しかし,政府の財政赤字などから,大きな政府に対する批判が強まっている。