●国際連合(→p.168) 第二次世界大戦の勃発を防止できなかった国際連盟の反省に立ち,「国際平和と安全を維持し,社会経済発展のため協力する」との連合国の合意がなされた。そして,1945年6月,サンフランシスコ会議で,平和と安全を維持する機構として国際連合の設立が決定された。同年10月,国連憲章が発効し,国際連合が設立した(原加盟国51か国)。
●NGO(非政府組織)(→p.168,175,194) 一般的には国際協力をおこなう市民組織をさす。対象地域に密着した草の根援助が特色で,大型プロジェクト中心のODA(政府開発援助)の欠点を補うものとして重要な役割を果たしている。開発問題・人権問題・環境問題などの解決に取り組む。
●NPO(非営利組織)(→p.168) 広義では非営利団体,狭義では非営利で慈善活動や社会貢献をおこなう市民団体。NPO法(特定非営利活動促進法)によって,一定の要件を満たす非営利団体がNPO法人として法人格を取得できるようになった。
●拒否権(→p.172) 国連安保理において,5常任理事国が1か国でも反対すれば,議案が否決される制度。安保理の表決に関し,5常任理事国と10非常任理事国は,各国それぞれ1票ずつの投票権をもつ。手続事項(非重要事項)については9理事国の賛成で,実質事項(重要事項)については常任理事国すべての同意票を含む9理事国の賛成で決定される。
●国連軍(→p.173) 国連憲章の定める集団安全保障制度の下で,侵略の防止・鎮圧など軍事的強制措置のために使用される国際的常備軍隊。これを組織するには,安全保障理事会と国連加盟国との間で,あらかじめ特別協定が締結される必要がある。また,常任理事国の代表者で構成される軍事参謀委員会の指揮にのみ従う。1950年の朝鮮戦争時の「国連軍」は変則的で,実際は現在まで一度も結成されていない。
●PKF(国連平和維持軍)(→p.173) PKO(国連平和維持活動)の一形態で,紛争当事国の間に入って停戦させたり,その国の治安回復に努めたりする。武器の使用は自衛の場合のみに限られ,軽武装が認められる。国連事務総長が任命した単一指揮官が全部隊を統帥し,国連が派遣費用を負担する。
●人間の安全保障(→p.176) インド出身の経済学者センの影響を受け, UNDP(国連開発計画)が,1994年の『人間開発報告』で提起した考え方。外国からの軍事的脅威に対して,国家や国民を守るという伝統的概念だけでなく,人間の安全にかかわる諸課題(内戦,テロ,飢餓,貧困など)に対処しようとする政策概念である。