●主権(→p.67,160,163) 国内的には統治権,最高意思決定権を意味し,対外的には国家権力の独立性を意味する。フランスの思想家ボーダン(1530~96)が『国家論』で定式化した。
●国家(→p.67,160) 国家が成立するための要素は,領域(領土・領空・領海),国民,主権,他国からの承認(外交能力)といわれる。ドイツのイェリネック(1851~1911)は領域,国民,主権をもって国家の三要素とした。
●ウェストファリア条約(p.160) 1648年,宗教戦争である三十年戦争を終結させた条約。これまでのキリスト教の精神的権威を統一原理とする支配に代わって,主権国家による現世的利益の考え方に支えられたヨーロッパ国際秩序が成立した。
●国際法(→p.161) 国家間の合意に基づいて,国家間の関係を規定する法と定義される。しかし,今日では,国家間の関係以外に,国際組織間または国家と国際組織との関係の規律をも含むとも理解されている。したがって,「国際社会の法」といえる。国家間で締結される条約と,一定期間にわたって反復される行為の結果,「義務的」なものと認められるようになった国際慣習法とがある。
●国際司法裁判所(ICJ)(→p.161) 国連憲章に基づき,1945年にオランダのハーグに設置された国連の主要機関の1つ。国連総会および安全保障理事会で選挙された15名の裁判官で構成される。当事者となれるのは国家のみで,当事国が付託した場合に裁判をおこなうことができる。また,総会や安保理が要請する問題について勧告的意見を与える。
●国際刑事裁判所(ICC)(→p.162) 1998年,ICC設立条約(ローマ条約)に基づき,集団殺害(ジェノサイド)犯罪・人道上の犯罪・戦争犯罪・侵略犯罪を犯した個人を裁く目的で,オランダのハーグに設置された常設国際裁判所。18名の裁判官で構成され,該当犯罪がおこなわれた場合,管轄権を行使する。個人を訴追する点において国際司法裁判所と異なり,地域的・時期的に制限を受けない点で戦争犯罪法廷とも異なる。米中ロが未加盟。