●心理的離乳(→p.16) アメリカの心理学者ホリングワースのことば。生後1年前後で見られる生理的離乳に対して,青年期に見られる,親の保護や監督,さらにはその価値観などから,精神的・心理的に独立することをいう。
●マージナルマン(境界人,周辺人)(→p.16) ドイツの心理学者レヴィンが,子どもの集団とおとなの集団のどちらにも属しきれない青年をマージナルマンとよんだ。
●第二の誕生(→p.16) フランスの思想家ルソー(1712~78)が,『エミール』のなかで,青年期をさしたことば。単なる生存のための「第一の誕生」に対して,青年期は精神的自我が芽生える「第二の誕生」であるとする。
●アイデンティティ(→p.17) アメリカの社会心理学者エリクソンは,自分が自分であることの自信を形成する基盤となるものをアイデンティティとよんだ。そして,この自信は,過去の自分と現在の自分との時間的な一貫性と,社会(仲間)のなかで自分の存在が認められているという感覚によって形成されていくと考えた。
●モラトリアム(→p.17) アメリカの社会心理学者エリクソンの用語。役割猶予という意味であるが,青年はおとなとしての責任や役割を猶予されており,その間に自己のアイデンティティを確立するという課題を負うということである。
●発達課題(→p.18) アメリカの教育心理学者ハヴィガーストが示した,人生のライフサイクルの各段階で達成すべき課題のこと。この課題が達成されないと,発達の次の段階で問題を生じることが多いともいわれる。
●第二反抗期(→p.18) 2~4 歳頃の第一反抗期に対し,青年期の第二反抗期は,親やおとなの権威からの精神的自立をめざす反抗である。
●欲求(→p.19) 人間の行動を誘発する要因となるもの。食欲・性欲・睡眠欲など生命を維持するために必要な欲求を一次的欲求,地位・名誉・金銭などの社会生活にともなう欲求を二次的欲求という。
●欲求階層説(→p.19) アメリカの心理学者マズローが主張した,欲求に階層があるという考え方。呼吸や食欲といった生理的欲求から,安全,所属・愛情,承認,そして自己実現の欲求という階層構造があるとし,下位の欲求が満たされてはじめて,上位の欲求があらわれるとした。
●欲求不満(フラストレーション)(→p.19) 欲求の充足が内的・外的原因により,阻止された状態。
●葛藤(コンフリクト)(→p.19) 2つ以上の相反する欲求が衝突して,精神が不安定になっている状態。
●防衛機制(→p.19) 欲求不満が生じたとき,そのまま放置しておくと自我が脅かされるため,無意識のうちにそうした欲求不満を解消しようとする心のメカニズムがはたらくこと。
●適応(→p.19) 人間が環境(社会環境・自然環境)との間に調和的関係をつくり,自分の欲求が充足されている状態。ただし,現実には欲求がいつも充足されるとは限らず,欲求不満の状態になることが多い。したがって,狭い意味では,欲求不満を解消する過程や努力を適応という。
●パーソナリティ(個性)(→p.20) 能力・気質・性格などを含む全体的な人間像をいう。また,性格と人格を同じ意味として使うこともあるが,一般に性格は,人格の内で意志の側面をさす場合に用いる。