③民主政治の基本的原理

１　政治と国家
①政治とは……一般には，国家や地方公共団体のはたらきのことをいう
【社会生活】意見の対立や紛争の発生→話しあいや交渉などで解決すること(＝政治)
②国家……国家の三要素：一定の領域(領土・領空・領海)・国民・主権
主権の概念……立法権・行政権・司法権を総称する統治権，国家権力の最高独立性，国政における最高決定権
③国家権力……国家がその機能をはたすために，国民を従わせる強制力
④国家の役割
●夜警国家……国家のはたらきをできるだけ小さくし，国防と治安の維持を中心とする国家(消極国家)
●福祉国家……国民の生活の安定や福祉の増進をはかる国家。国家の機能と権限は大きく拡大(積極国家)

２　国家成立の思想
①王権神授説……専制君主が絶対主義国家を正当化するため，国王の権力は神から与えられたものとする思想
②社会契約説→いかに人権を確保するかということが，国民主権へと結びついていく
●ホッブズ(英)：主著『リバイアサン』
自然状態では｢万人の万人に対する闘争｣→そこで社会契約を結んで国家をつくる。生命の安全を確保するために主権者(国王)に絶対的な権力を与える
●ロック(英)：主著『市民政府二論(市民政治二論)』
人は生命・自由・財産を守る権利をもっている→この自然権を保障するために統治権を国家に信託する。その国家では，国民の代表者の集まりである議会が国政の最高機関となる。国民は抵抗権(革命権)をもつ
●ルソー(仏)：主著『社会契約論』
人は本来自由で平等だが土地の私有によって崩れる→元に戻すために個人の意思による社会契約で市民社会を形成する。この社会では主権は人民にあり，人民の一般意思に基づいて政治がおこなわれるとして，直接民主制を主張

３　国民主権と議会
①直接民主制……民主政治のうち，国民が直接参加して政治をおこなうしくみ
②間接民主制……国民が選んだ代表が政治をおこなうしくみ
③議会制民主主義の原理
●国民代表の原理→｢代表｣とは，国民全体の代表
●審議の原理→少数意見の尊重，ポピュリズムに陥らないように留意
●監督の原理→議会が行政を監督