①公共的な空間を形成するための考え方

1 「結果」と「義務」の考え方
結果を重視する考え方……行為の結果である個人や社会全体の幸福を重視する考え方
義務を重視する考え方……行為の動機となる公正などの義務を重視する考え方

2 功利主義の思想家
①ベンサム
●功利性……快楽をもたらし,苦痛を妨さまたげる,あらゆるものごとに備わっている性質
量的功利主義……人間は快楽や苦痛の量(持続性や強さなど)を計算して最も快楽量が大きい行動をとるという考え方
最大多数の最大幸福……できるだけ多くの人の快楽を,できる限り増大させることが善であるという考え方
②ミル
質的功利主義……人間は,獣のような質の低い快楽を満たすことよりも,容易には満たせなくても高い質の精神的快楽を求めるという考え方
他者危害の原則……個人の意見や行動が他者に悪影響をおよぼさない限り,社会は個人の意見や行動に干渉してはならないということ

3 義務論の思想家
カント
●道徳法則……時代や地域にかかわらず,従したがうべきこと→定言命法(~せよ),仮言命法(もし~ならば~せよ)
●人格……道徳法則に自律的に従って行動する自由な人間
目的の国……他者を手段として(自分のために)扱わず,目的として(他者のために)扱い,互いに尊重しあい,互いのために行為しあえる理想の共同体

4 社会問題との向きあい方
ロールズの「公正としての正義」……平等な自由原理,公正な機会均等原理,格差原理が全構成員の合意によって承認され,契約されることによって成り立つ
②センの「人間の安全保障」……潜在能力(生き方の幅の広さ)を失わせる脅威から,福祉政策などを通して人々を守ること
アーレントの「人間の条件」……言論などによって多数の人間とかかわる行為すなわち活動(action)が最も重要
ハーバーマスの「コミュニケーション的合理性」……人間は暴力や強制ではなく,コミュニケーション行為によって合意形成をし,公共性を形成する