⑤国際社会における貧困や格差
1 南北問題
①南北問題……先進国と発展途上国の経済格差。発展途上国の多くが先進国の南側に位置することに由来
【原因】
●発展途上国の多くは植民地時代からの一次産品を生産するモノカルチャー経済から脱却できない
●発展途上国は原料となる一次産品を安い価格で輸出し,先進国が加工・生産した工業製品を高い価格で輸入する垂直的分業であるために,構造的に貿易赤字を押しつけられている
②HDI(人間開発指数)……UNDP(国連開発計画)の平均余命・教育・所得の側面から人間開発の達成度を示す
③絶対的貧困………食料や衣類など人間らしい生活の必要最低条件の基準が満たされていない状態のこと→世界銀行は1日2.15ドル未満で生活する人々と定義
④資源ナショナリズム……天然資源の採掘・開発・利用権は資源保有国にあり,先進国による監査採掘を制限
●天然資源に対する恒久主権(1962年)……国連総会で宣言
●新国際経済秩序(NIEO)樹立宣言(1974年)……国連資源特別総会で採択
⑤累積債務問題……発展途上国が工業化のために先進国から受けた融資が返済不能となる問題
2 経済的自立に向けて
①UNCTAD(国連貿易開発会議,1964年設立)……南北問題を討議する国連総会直属の専門機関
②DAC(開発援助委員会)……OECD(経済協力開発機構)の下部組織。開発援助について意見調整をおこなう
③新興国市場……BRICSのように発展途上国のなかでめざましい経済発展を遂げている,遂げようとしている国
④後発発展途上国……発展途上国のなかで最も経済発展が遅れている諸国の総称→発展途上国間での経済格差→南南問題に
3 日本の発展途上国への支援
①先進国としての日本→発展途上国への援助
②資金的には世界有数の援助国……ODA(政府開発援助),実績は世界第3位(2023年暫定実績)
③JICA(国際協力機構)……日本のODAを一元的におこなう実施機関
④開発協力大綱……日本の開発協力の方向性をまとめる。2014年にODA大綱から名称変更,国益確保への貢献を明記