①社会に生きる私たち
1 青年期の意義
①青年期の位置づけ
第二次性徴……身体に男性の特徴(声変わり・ひげなど)・女性の特徴(胸のふくらみなど)があらわれる
「第二の誕生」(フランスの思想家ルソーのことば)……自我の目覚め・精神的誕生を表現
第二反抗期……自我が目覚め,自己主張が強くなり,親や既成の価値観への反抗的主張がめだつようになる
マージナルマン(境界人,周辺人。レヴィンの用語)……子どもとおとなの両面の心理的属性をもつ
②青年期……近代以降に成立→ライフサイクルのうち,児童期と成人期との過渡期
近代以前→通過儀礼(イニシエーション)で一気におとなへ
モラトリアム(エリクソンの用語)……おとなへの準備,義務や役割を猶予
③青年期の延長……現代では,青年期のはじまりが低年齢化(発達加速現象)
青年期の終わりは30歳前後までのびる(社会の複雑化・習得技能の増大)
④多元的な自己……複数の自己をもち,自由に使いわけること
→背景には,確固たる1つの自己を形成する必要はないという考え方がある
⑤青年期の発達課題
心理的離乳(アメリカの心理学者ホリングワースのことば)……親からの精神的自立
アイデンティティ(自我同一性)の確立……社会化と個性化の達成
2 欲求と自己形成
①欲求の発達……生理的欲求などから自尊の欲求など,より高次なものへ(マズローの欲求階層説)
→欲求不満(フラストレーション)や葛藤(コンフリクト)に直面→防衛機制(心を守る無意識のはたらき)
②心の構造……意識にあらわれない無意識の部分の存在→フロイト(エスなど),ユング(集合的無意識など)が重視
③劣等感(コンプレックス)……「理想の自分」と「現実の自分」との隔たり。自己意識と他者意識の高まりがもたらす
→アドラーは,努力と成長の原動力と捉える
④個性(パーソナリティ)……能力(知能的側面)・気質(感情的側面)・性格(意志的側面)からなる全体的人間像
→クレッチマー,ユング,シュプランガーなどが類型化