④内閣と行政の民主化
1 内閣の構成と権限
①内閣……行政権は,内閣に属する(憲法第65条)
②議院内閣制……内閣の存立は国会の信任に基づき,内閣は国会に対して連帯して責任を負う
③内閣の権限……法律の執行と国務の総理,外交関係の処理,条約の締結,予算の作成,政令の制定
天皇の国事行為に関する助言と承認,臨時国会召集の決定,参議院の緊急集会の要求,最高裁判所長官の指名,最高裁判所裁判官および下級裁判所の裁判官の任命
④首長たる内閣総理大臣……国会議員のなかから,国会が指名,天皇が任命,文民規定あり
→内閣代表権(内閣を代表して議案提出,一般国務および外交関係を報告)
行政各部の指揮監督権,国務大臣の任免,国務大臣の訴追同意権,自衛隊の最高指揮監督権,閣議の主宰など
⑤国務大臣……14人以内(特別な場合には17人以内),過半数は国会議員,文民規定あり
ただし,復興庁の新設などにともない,現在は16人以内(最大19人以内)
⑥行政委員会……人事院,公正取引委員会など。中立性,専門的判断が必要な事項について設置
2 衆議院の解散と内閣総辞職
①衆議院で内閣不信任案可決または信任案否決→10日以内に衆議院を解散するか総辞職か選択(憲法第69条)
②内閣総理大臣が欠けたとき(憲法第70条)
③衆議院の解散→(40日以内)→総選挙→(30日以内)→はじめての国会召集後,内閣総辞職(憲法第54,70条)
3 行政機能の拡大
①夜警国家から福祉国家へ→委任立法の増加,許認可権,補助金,行政指導など行政機能の拡大
②行政権の強大化,官僚制→天下りなどに見られる政・官・財の癒着←公務員制度改革関連法(2007年)
4 行政の民主化
①行政改革……行政機関のスリム化←中央省庁再編,地方分権の推進,許認可行政の見直し→規制緩和
行政運営の公正や透明化を目的に,行政手続法制定(1993年),パブリック・コメントの導入
②情報公開制度の確立……情報公開法の制定
③オンブズマン制度の採用……地方公共団体で導入。国家レベルではまだ導入されていない