11東アジアの暮らし
■東アジアの自然環境 
❶中国の地形…概ね西高東低で,階段状の地形
南西部:標高7,000m以上のヒマラヤ山脈や,標高4,000m以上のチベット高原
北西部:標高1,000~2,000mのタリム盆地やホワンツー(黄土)高原,ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠
東部:黄河(ホワンホー)や長江(チャンチヤン)下流域に標高500m以下の広大な平野
❷中国の気候
南東部:季節風(モンスーン)の影響を強く受け,温暖多雨の温暖湿潤(Cfa)気候
北東部:気温の年較差が大きく,冬季は冷涼少雨で乾燥する大陸性の冷帯冬季少雨(Dw)気候
西部:北西部は乾燥気候。南西部は標高が高く,高度によって気候が異なる
❸モンゴルの自然環境
地形:西部にアルタイ山脈,中部に高原状のステップ地帯,南部にゴビ砂漠が広がる
気候:乾燥・半乾燥気候。植生は北部の針葉樹林,中部のステップ(草原),南部の半砂漠へと変化
❹朝鮮半島の自然環境
地形:位置的に日本列島と近いものの,安定大陸(安定陸塊)であり,地震のリスクは低い。半島東部には山脈,西部には平野が広がる。南西部にはリアス海岸が見られる
気候:南部は季節風の影響で夏季は温暖湿潤,冬季は冷涼乾燥。北部は大陸性の冷帯冬季少雨(Dw)気候で,冬季は寒さが厳しい

■中国の産業
❶農業…耕地面積は国土の14%。農業従事者が多く,農民1人あたりの耕地面積は小さい。農業地域は,チンリン(秦嶺)山脈~ホワイ川(淮河)に沿う年降水量800~1,000mmの線を境に南北で異なる
北部:冷涼少雨 ➡畑作(主食は小麦中心)
南部:温暖多雨 ➡稲作(主食は米中心)
西部:乾燥 ➡遊牧とオアシス農業
沿岸部:輸出用の野菜や花卉の生産が盛ん
❷工業
1949年の中華人民共和国建国以降,計画経済下で,東北部や内陸部の鉱産資源と重化学工業が発展
➡1978年の改革・開放政策以降,内陸部から供給される安価な労働力を活用し,経済特区を設けて外国企業を誘致
➡1990年代以降,急速に経済が成長。2001年にWTO(世界貿易機関)加盟。軽工業からハイテク産業まで網羅する「世界の工場」に
課題 地域格差の拡大…西部内陸地域(停滞)⇔東部沿海地域(発展)➡西部大開発:西部内陸地域の社会基盤の整備
➡「一帯一路」構想…グローバル化の中で中国主導の国際統制を図る。沿岸部と内陸部を繋ぐことで,格差是正も期待

■中国の生活文化と諸課題
❶生活の変化…都市部の開発,海外旅行・留学の増加。独自のキャッシュレス決済などICTサービスの発展。購買力の上昇により「世界の市場」へ
❷人口問題…生産年齢人口の減少など少子・高齢化の兆し ➡2016年に「一人っ子政策」廃止
❸民族問題…人口の9割以上を占める漢族と55の少数民族からなり,人口の多い5つの少数民族は自治区を形成
➡シンチヤン(新疆)ウイグル自治区やチベット自治区などで,人権や宗教をめぐる問題を抱える
❹環境問題…大気汚染や水質汚濁,酸性雨など,急激な経済発展による負の側面 ➡日本の技術協力も

■東アジア諸国の歴史と産業
❶台湾
歴史:少数の先住民と17世紀以降に大陸から移住した漢族が暮らす。1895~1945年は日本が統治,以降は中華民国
産業:1960年代から輸出産業を主体に経済成長,アジアNIEsの一員。1980年代からハイテク産業を育成し,成長を牽引
❷ホンコン・マカオ
歴史:ホンコンは1997年にイギリス,マカオは1999年にポルトガルより返還。特別行政区として「一国二制度」適用
産業:ホンコンはアジアの金融センターとして成長,外国企業が進出。2020年の香港国家安全維持法により変化も
❸モンゴル
歴史:1924年に社会主義のモンゴル人民共和国として成立 ➡ソ連崩壊後の1992年に民主化し,モンゴル国へ改称
産業 石炭・銅・モリブデン・ウランなどの鉱産資源の開発。ステップ地帯は畜産業や農業が行われる
❹朝鮮半島
歴史:1945年に日本の統治が終わり,米ソ対立を背景に北緯38度線を境に南北分断 ➡朝鮮戦争後も分断が続く
産業 南の韓国は輸出指向型の工業で経済成長=「漢江の奇跡
➡アジアNIEsの一員で,近年はICT産業やコンテンツ産業が発展⇔北の北朝鮮は近代化が遅れ,停滞