09持続可能な開発目標(SDGs)③
■地球温暖化問題
❶地球温暖化の要因…産業革命以降の人間活動による温室効果ガス(CO₂〈二酸化炭素〉など)の増加
➡IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の予測によれば,温暖化は世界均一に進行するのではなく,地域差がある
❷温暖化が進むと予想されること…平均気温が1.0~5.7℃上昇,海面が28~101㎝上昇,干ばつや大雨など異常気象頻発のおそれ
❸国際的な取り組み…気候変動枠組条約(気候変動枠組条約締約国会議=COP)
➡京都議定書(COP3,1997年)…温室効果ガスの削減義務を一部の先進国にのみ課す
パリ協定(COP21,2015年)…発展途上国も含め,すべての締約国で温室効果ガス削減目標の策定を義務化
➡日本を含む多くの国が,2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする脱炭素社会の実現を目指す
■大気の環境問題
❶酸性雨…pH5.6以下の雨。化石燃料の燃焼時に生じる硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)が原因。森林枯死や湖沼の魚の死滅などを引き起こす
❷大気汚染…工場や自動車の排ガスに含まれる微粒子や有害な気体成分が大気中に増加し,人の健康や環境に悪影響をもたらす
❸オゾン層の破壊…太陽からの有害な紫外線をやわらげるオゾン層がフロンガス類で破壊され,オゾンホールが生じる
■陸地の環境問題
❶砂漠化…気候変動や人為的要因によって地力(土地が作物を育てうる能力)が低下し,土地が荒廃すること
砂漠化の主な要因
<過耕作・過放牧・過剰伐採>
特徴…人口増加にともない,自然再生能力をこえた耕作や家畜の放牧,薪炭材確保のための乱伐が行われ,地力が失われる
事例…サハラ砂漠南縁部のサヘル地域。要因:過放牧と地下水の過剰な汲み上げなど
<土壌の塩性化>
特徴…乾燥地で過度な灌漑農業を行うことなどにより発生。水や土壌に含まれる塩類が蒸発にともなう毛細管現象で地表に蓄積する
事例…エジプトのナイル川下流域。要因:アスワンハイダムの建設や取水量の増加など
<土壌侵食>
特徴…農地に適する表土が雨や洪水などで流出し,表土が削られ基盤がむき出しになることで,再農地化が難しくなる
事例…アメリカのプレーリーやグレートプレーンズ。要因:土地の起伏を無視した,農業の大規模機械化
❷森林の減少…世界:特に熱帯林の減少が顕著
➡要因・大規模な農地開発や木材輸出のための過剰伐採
〔例:マレーシアのアブラヤシプランテーション,アマゾン川流域〕
・マングローブ林の養殖池化〔例:タイのエビ養殖〕
日本 農山村の里山や雑木林など二次林の荒廃
➡シカやイノシシなどによる被害(獣害)の発生
■海洋の環境問題
❶海洋汚染…工業廃液などによる有害化学物質,海底油田や石油タンカーの事故による原油流出,プラスチック製品などの海洋ゴミ
❷マイクロプラスチック…海に流れ出たプラスチックゴミが紫外線や波などで破砕され,直径5㎜以下になったもの
➡長期間分解されないため,生態系への悪影響が懸念される
❸海洋の生態系の悪化
…水産資源(魚介類など)の乱獲,バラスト水(船舶の重しとして用いられる海水)による水生生物の移動,サンゴの白化など
➡関係各国の資源管理や国際条約での規制,海洋保護区の設置などの対策が行われる
■生物多様性
❶生物多様性…人間を含めた動植物や土壌,水中の微生物など,地球上の生物の豊かな個性とつながり
➡空気や水の浄化,医薬品の開発など,人間活動も生物多様性の上に成り立つ
➡20世紀以降の人間活動によって生物多様性がおびやかされており,その保全が求められる
❷生物多様性を維持する世界的な取り組み…国連環境開発会議(地球サミット)1992年,名古屋議定書2010年採択など