04特色ある生活文化
■世界の特色ある生活文化
自然環境(地形・気候・植生など)+社会環境(政治・経済・文化など)=地理的環境で特色づけられる
■世界のさまざまな「食」
❶世界の主食…自然環境の影響を強く受け,その地域の気候で栽培できる農作物が主食となる
例:乾燥帯から冷帯まで広く栽培される麦類,熱帯から温帯の高温多湿な環境を好む稲
❷食べ方…ヨーロッパから広がったスプーン・フォーク,アジアから広がった箸。手を使う場合,ヒンドゥー教徒のように左手を不浄なものとして食事に使わない場合も
❸調理方法…穀類だけを見ても,水と一緒に煮る,粉末状にしてお湯で練る,粉末状にして焼くなど,地域によってさまざま
❹保存方法…日持ちをよくするために,冷凍・乾燥・塩漬け・燻製・発酵などが伝統的に行われ,19世紀初めになるとさらに日持ちのよい瓶詰・缶詰が誕生
❺社会環境の影響を受ける食…宗教や人の移動,地域の結びつきによる影響
例:宗教の影響も受ける食肉消費の地域性,植民地の拡大とともに南北アメリカ大陸から広がったジャガイモやトウモロコシ,プランテーション作物として広がったサトウキビやコーヒー,他地域との交流から生まれた長崎県の大皿料理
❻技術の進歩・グローバル化がもたらす恩恵と課題
<恩恵>
アグリビジネスによる大量生産,コールドチェーンなど輸送技術の進歩など
<課題>
生産地における環境問題,輸送時のCO₂(二酸化炭素)排出,食料自給率の低下,産地・原材料の偽装,食の画一化など
さまざまな対策 ➡バーチャルウォーター(仮想水)やフードマイレージの考え方の普及,地産地消,食品トレーサビリティ,地理的表示(GI)保護制度,観光への活用など
■世界のさまざまな「衣」
❶自然環境の影響を受ける伝統的衣服…その地域の気候や植生から得られる素材を使い,自然環境に適応
例:高温多湿な熱帯の風通しのよい木綿や麻,植物が育ちにくい寒冷な気候のトナカイなど動物の皮革や毛皮,日差しが強く砂ぼこりもある乾燥帯の全身を覆う衣服,気温の日較差の大きいアンデス地方のポンチョ
❷社会環境の影響を受ける伝統的衣服…その地域の宗教や産業に影響を受けたり,政策として取り入れられたりしたもの
例:イスラームの戒律の影響を受けるヒジャブやニカブ,農作業用の衣類から発展したアルプス東部の伝統的衣服,身分や階級を示すブータンの伝統的衣服
❸技術の進歩やグローバル化で変わる衣服…化学繊維や高機能繊維の登場,ジーンズやスーツなど欧米のファッションの浸透
➡伝統的衣服を身につける機会の減少,衣服の大量生産と画一化,労働環境の悪化や自然環境への負担などが発生
一方⇔ 伝統的衣服を観光資源として利用する地域も
■世界のさまざまな「住」
❶世界の伝統的家屋…自然環境の影響を強く受け,その地域で得られる素材を使い,気候に適応できるように工夫
例:乾燥帯の日干しレンガ,森林の豊富な温帯や冷帯の木材,寒帯や乾燥帯のような植生に乏しい地域での家畜の皮革や毛皮,熱帯や冷帯・寒帯の高床式の家屋
❷家屋の構造…自然環境とともに,生業などの社会環境にも影響を受ける
例:低平な地域における水屋,地震が多い変動帯における耐震構造,沿岸地域における水上集落,日本における養蚕と関係した合掌造り,農作業に用いる役畜に配慮した曲屋
❸社会環境の変化と「住」…人口の変化,都市機能の変化,価値観の変化による影響
例:発展途上国の都市におけるスラム,郊外にベッドタウンとしてつくられた日本のニュータウン,空き家の再利用,古い街並みの保全(日本の重要伝統的建造物群保存地区など),伝統的家屋の保存や観光資源化