p.86-87 新しい人権
用語解説
日本国憲法の明文上は規定されていないが,社会の変化にともなって主張されるようになった権利。日本では憲法第13条(個人の尊重,幸福追求権)や第25条(生存権)などを根拠に,裁判などをとおして確立されてきた。環境権,プライバシーの権利,知る権利,肖像権,自己決定権などがその例である。
自分の情報を自分でコントロールする権利。日本では,三島由紀夫の『宴のあと』事件(1964年)により確立した。この権利は表現の自由と対立する場合が多く,柳美里の『石に泳ぐ魚』事件の最高裁判決(2002年)では,小説のモデルのプライバシーと名誉を守るために,小説の出版差し止めが認められた。
人々が,直接または報道などをとおして間接的に,政府や企業などが保有する情報を入手する権利。1999年に制定された情報公開法は,この権利を実質的に保障するための法律である。
良好な環境を享受する権利。四大公害訴訟,大阪国際空港公害訴訟,尼崎公害訴訟などで実質的に確立されてきた。この権利を守るための法律が環境影響評価法(環境アセスメント法)である。なお,最高裁判所は環境権という権利そのものは認めていない。
自己の生き方を他人や公権力などの介入なしに決定する権利。尊厳死や安楽死を選択する権利も,その例であるとされる。