p.84-85 社会権と参政権・国務請求権

用語解説

●社会権(社会権的基本権)

国家による自由を意味し,人間に値する生活を国家に保障してもらう権利。19世紀後半に資本主義経済が発達することで拡大した貧富の差に対応するために要求され,ワイマール憲法で初めて本格的に保障された。生存権,労働基本権,教育を受ける権利などからなる。


●プログラム規定説

生存権を保障した日本国憲法第25条は,国の政策目標ないし政治的・道徳的な責務を定めたもの(プログラム規定)であって,個々の国民に対して具体的な請求権を保障したものではないとする説。朝日訴訟の際に最高裁判所が参考意見のなかで述べた。


●参政権

国民が政治に参加する権利。選挙権,被選挙権,国民審査権,国民投票権,直接請求権などからなる。国民主権を実現するための権利であり,自由権にやや遅れて確立された。


●国務請求権

個人の生命・自由・利益を守るため,国家に積極的な行動を求める権利。日本国憲法では,請願権,裁判を受ける権利,損害賠償請求権,刑事補償請求権が規定されている。