p.56-57 民主主義

用語解説

●直接民主制

国民(住民)が直接議論したり決定を下くだしたりする政治制度。古代ギリシャの民会や,アメリカ植民地時代のタウンミーティングなどの事例がある。現在ではスイスの一部の州で実施されている。


●間接民主制

国民(住民)が選挙で代表者(議員)を選出し,その代表者が議論して決定を下す政治制度。議会制民主主義や代表民主制ともいわれる。現代の国家では,国民全員が議論に参加し,決定することが難しいため,この制度がとられていることが多い。


●社会契約説

17~18世紀にイギリスやフランスで主張された政治思想。国家権力が存在しない自然状態から,人々が社会設立の契約を結んで国家や政府を形成するという考え方。


●絶対王政

王が絶対的な権力を行使する政治形態。王権神授説(王の権力は神から与えられたもので絶対不可侵であるという思想)が理論的根拠となっている。17世紀のフランス国王ルイ14世が残した「朕は国家なり」ということばのとおり,国王の意思が法律に優先する状態であった。


●ホッブズ(1588~1679)

イギリスの思想家。著書『リバイアサン』で,人間の自然状態は「万人の万人に対する闘争」であり,その恐怖から逃れるために,各個人は自然権を統治者に譲渡する社会契約を結ぶと説いた。


●ロック(1632~1704)

イギリスの思想家。著書『市民政府二論』で,人々は自然権を保障するために社会契約を結び,国家が自然権を侵害した場合には,市民は抵抗権(革命権)を行使できるとした。この思想は名誉革命を正当化し,アメリカ独立戦争に影響を与えた。


●ルソー(1712~78)

フランスの思想家。著書『社会契約論』で,人間の本来の自由・平等を回復するために,すべての自然権を共同体に譲り渡さなければならないとした。そして,人民の一般意思(志)に基づく政治をおこなうため,直接民主制を主張した。