p.42-43 倫理VIEW よりよく生きるために

用語解説

●徳

ギリシア語でアレテーといい,あるものの本来のはたらきをよく発揮する卓越性を意味する。ソクラテスやプラトン,アリストテレスは,人間の魂のすばらしさとしての徳を探究した。現代になって,アリストテレスらの議論をふまえて,その人のもつ性格から倫理を考える徳倫理の考え方が提唱されている。


●道(タオ)

老荘思想の基本概念の一つ。万物を育むこの宇宙の根源。儒家が人と人との関係としての仁や礼を重視したのに対し,老荘思想では人の営みを超越した原理であるこの道に従う無為自然の生き方が理想と考えられた。


●イデア

プラトンは,我々の目の前にあるこの世界の事物の原型・模範である真の存在(イデア)が,イデア界に実在すると考えた。イデアは,感覚ではなく,理性によって認識することができるものとされる。


●中庸

ギリシア語でメソテース。両極端を避けた,中間的なあり方や行為のこと。たとえば,「無謀」と「臆病」の間の「勇気」が中庸であるとされる。アリストテレスは,中庸を選ぶ習慣を身につけることによって善い性格が形成されると考えた(習性的徳)。