p.40-41 動機から考える公正さ

用語解説

●義務論

行為の動機によって善悪を判定する倫理学の考え方。カント自身の語ではないが,カントの倫理学は典型的な義務論である。みずからの実践理性が立てた道徳法則に従った(自律)行為のみが善でありうるとカントは述べた。道徳法則が私たちに命じるのは,無条件的な命令である定言命法である。


●自由

英語ではfreedom。自由には二つの意味があると言われる。一つは「~からの自由」であり,強制されていないことを意味する。もう一つは「~への自由」であり,みずから何かへと向かう自由である。カントの自由は「道徳への自由」であると考えられる。


●正義

多くの人が共生する社会において正しい(just)状態をいう。プラトンやアリストテレスよって議論された倫理学の中心概念の一つ。ロールズは,偏りのない公正さこそが正義の核心であると説いた。