p.228-229 地域的経済統合

用語解説

●地域的経済統合

近接する複数の加盟国が関税や輸入数量制限などの貿易障壁の撤廃をめざして,市場経済を統合すること。一方で,非加盟国に対して貿易制限を維持することで,加盟国の経済力を高めることを目的とする。EUやUSMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)など。


●ASEAN(東南アジア諸国連合)

1967年,インドネシア,マレーシア,フィリピン,シンガポール,タイの東南アジア5か国で結成された。経済,社会,文化の域内協力を進めることを目的としている。現在の加盟国は10か国となっている。2015年にはAEC(ASEAN経済共同体)を発足させた。


●APEC(アジア太平洋経済協力)

1989年,アジア・環太平洋地域の経済協力を目的として発足した。設立当初の参加国は12か国だったが,現在は21か国・地域が参加している。APECは「開かれた地域主義」をめざし,ほかの地域的経済統合とは異なり,参加国の自主性を重視している。


●EU(欧州連合)

第二次世界大戦後,ドイツとフランスの対立解消をめざして,1952年にECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)が設立された。ECSCはEEC(欧州経済共同体),EURATOM(欧州原子力共同体)と統合し,1967年にEC(欧州共同体)となった。1993年にはEUとなり,1999年には共通単一通貨ユーロが発行された。その後,東欧諸国が加盟するなど拡大を続けたが,一方で加盟国間の経済格差や移民対応など,多くの問題をかかえている。2020年にはイギリスが離脱し,現在の加盟国数は27か国となっている。