p.206-207 社会保障のしくみ

用語解説

●ベバリッジ報告

1942年にイギリスの経済学者ベバリッジが提唱した社会保障制度のモデル。「ゆりかごから墓場まで」をスローガンに,国家が最低限度の生活を保障し,社会保障制度は社会保険を基本に,特に必要な場合は公的扶助を,最低限度をこえる場合は任意保険でという方法で社会保障を実現した。


●社会保険

公的扶助,社会福祉,保健医療・公衆衛生とともに日本の社会保障制度の4本柱の一つ。社会保険とは,国民が疾病,失業などの生活上のリスクにそなえるため,あらかじめ保険料を支払っておき,該当する事態になれば給付を受けられるしくみ。


●公的扶助

生活困窮者に対して,国が最低限度の生活を保障する制度。費用は全額公費負担。扶助の内容は生活保護法に規定され生活扶助や介護扶助など8種類がある。保護を必要とする人は市などに設置されている福祉事務所に受給を申請する。


●社会福祉

社会生活を営む上で,高齢者,障害者,母子家庭など社会的保護や援助を必要とする者に対してサービスや施設を提供する。福祉六法といわれる保護法があり,費用は全額公費負担。


●保健医療・公衆衛生

保健医療では感染症予防や精神衛生を保持し,疾病を防ぎ国民の健康維持や増進をはかっている。公衆衛生(環境政策)では公害防止や上下水道の整備など,環境の整備,公共サービスを提供している。


●積立方式・賦課方式

かつての日本の年金制度は,みずからが支払った保険料を将来受け取る積立方式を採用していたが,現在は現役世代が保険料を負担し,高齢者を支える世代間扶養の考えを基礎とした賦課方式をとっている。