p.188-189 公害防止と環境保全
用語解説
四日市ぜんそく,水俣病,新潟水俣病,イタイイタイ病の公害病患者らが,公害を引き起こした企業に損害賠償を求めて起こした訴訟。いずれも原告側の勝訴が確定して,企業の責任が明らかにされた。
企業が公害を発生させた場合,被害者救済だけでなく,公害除去費用や公害防止のための費用を企業が負担しなければならないこと,公害防止費用は製品価格に反映させ,国の補助をおこなわないことなどを原則とした。1972年,OECD(経済協力開発機構)の環境委員会が加盟国に勧告した。
1967年に成立した公害対策基本法は,ゴミ問題などの都市公害や生活型公害,地球環境問題を念頭に置いていなかった。これらに対処するために,1933年,公害対策基本法に代わって環境基本法が制定された。
工場からの排出ガスなどの汚染物質の濃度を一定基準以下に制限し,企業などに個別に基準を守らせようとするもの。しかし,濃度を基準とする規制では,汚染物質の排出量に対する規制が弱いのが現実であった。
環境保全や公害防止の観点から,一定地域ごとに排出される大気汚染や水質汚お濁だくなどの汚染物質の総量や基準値を定めて,その地域の総排出量を規制しようとするもの。
公共事業や地域開発にあたって,それが自然環境に与える影響を事前に調査・予測・評価し,計画に反映させること。1997年,アセスメントの結果を公表する環境影響評価法(環境アセスメント法)が制定された。
自然環境や歴史環境を保護するために,住民らが土地を買い取って保全していこうとする自然保護活動のこと。19世紀末にイギリスで始まった。