p.182-183 経済社会と経済体制

用語解説

●産業革命

18世紀後半のイギリスで起こり世界各地に広がった産業・社会全体の大変革。当時のイギリスでは,蒸気機関などの発明によって生産技術が飛躍的に向上するとともに,工場制機械工業の導入で,工業製品の大量生産がなされるようになった。


●資本主義

生産手段の私有と市場経済における自由競争を特徴とする。18世紀後半のイギリスで確立した。


●アダム=スミス(1723~90)

イギリスの経済学者で,「経済学の父」とよばれる。主著『国富論』。資本主義経済における自由競争の利点を説き,最低限のモラルの上での人々の利己心が公益につながり,「見えざる手」によって社会全体の利益となる望ましい状況が達成されると主張した。


●社会主義

生産手段の国有化と中央政府による集権的な計画経済を特徴とする。1922年に世界最初の社会主義国としてソ連が誕生し,東欧やアジアなどにも社会主義国が広がった。しかし,社会主義経済には労働意欲を刺激するしくみがなかったため,経済は停滞し,多くの社会主義国は崩壊した。


●マルクス(1818~83)

ドイツの経済学者・哲学者。主著『資本論』。資本主義経済は貧富の差の拡大や恐慌などの問題を引き起こすとして,社会主義経済への転換を主張した。


●ケインズ(1883~1946)

イギリスの経済学者。主著『雇用・利子および貨幣の一般理論』。資本主義経済下で発生する失業者を救済するために,政府が経済活動に積極的に介入し,有効需要をつくり出すべきだと説いた(修正資本主義)。


●フリードマン(1912~2006)

アメリカの経済学者。古典派経済学の流れをくみ,貨幣政策の重要性を説くマネタリズムの体系を確立した。1976年にノーベル経済学賞を受賞。


●有効需要

購買力によって裏づけられた需要のこと。商品を得たいという欲求だけでは,経済上の需要とならない。ケインズは,有効需要の大きさが生産や雇用の水準を決定すると主張した。


●経済特区

1978年から,中国では鄧小平による改革開放政策が実施され,外国の資本や技術の導入を目的に,社会主義体制と区別して各地に経済特区が設けられることとなった。中国の経済特区に進出した外国企業には,所得税など税制面での優遇や関税免除などの特典がある。


●社会主義市場経済

中国でおこなわれている,社会主義の政治体制をとりながら,経済は市場経済のしくみを導入するという経済運営の方針。


●小さな政府

政府の役割は,国防など必要最小限にとどめるという考え方。財政負担が少なくすむ一方で,社会的弱者に対する救済がないという問題がある。


●大きな政府

政府が積極的に国民の生活を保障するという考え方。資本主義の発展にともない,失業や貧困などの弊害があらわれたことから,ケインズらによって一般的となった。