p.18-19 青年期を生きる私たち

用語解説

●マージナルマン(境界人)

青年期について,ドイツの心理学者レヴィンが表現したことば。青年期はおとなでも子どもでもなく,位置づけがはっきりしない時期であることから名づけられた。


●第二反抗期

子どもがおとなに対して反発をするようになるなど,自立して生きようとする青年期にみられる現象。親に対する第一反抗期( 4~ 5歳頃)に対し,第二反抗期は12~14歳頃にあらわれ,親だけでなく教師,さらには社会一般に向けられ,権威に対して批判的,攻撃的な言動や態度をとるようになる。


●第二の誕生

青年期の心の変化について,フランスの思想家ルソーが表現したことば。「一度目は人間として,二度目は男性として,女性として」生まれるのだといわれる。人間としてこの世界に誕生したことを第一の誕生ととらえ,自立した主体として生きようとする自覚がめばえる青年期を第二の誕生ととらえる。


●モラトリアム(猶予期間)

青年期について,アメリカの心理学者エリクソンが表現したことば。青年期はアイデンティティを確立するために社会的な義務や責任を猶予(免除)されていることから,このようによんだ。


●発達課題

人生のそれぞれの時期に達成されるべき課題。アメリカの心理学者ハヴィガーストは,青年期の発達課題として,「仲間と成熟した関係をもつこと」「大人から感情的独立を達成すること」「価値観および倫理体系を獲かく得とくすること」など10項目をあげている。


●アイデンティティ(自我同一性)の確立

「アイデンティティ」とは,ほかの誰でもない自分らしさのことをいう。エリクソンは,青年期の発達課題をアイデンティティの確立とした。一方で,青年期には,自分が何者かわからなくなるアイデンティティの危機(拡散)を経験することも多い。


●通過儀礼(イニシエーション)

誕生,成人,結婚,死など,人の一生の節目におこなう儀礼。近代以前の社会では,通過儀礼が明確にあった。日本の元服をはじめ,バンジージャンプなど身体的活動をともなう地域もある。近代化にともなって見られなくなることが多く,おとなと子どもの中間に位置する青年期が重要になってくる。


●ルソー(1712~78)

フランスの思想家。著書『社会契約論』で,人間の本来の自由・平等を回復するために,すべての自然権を共同体に譲り渡さなければならないとした。そして,人民の一般意思(志)に基づく政治をおこなうため,直接民主制を主張した。