p.230-231 いまを読み解く EU統合はどのような未来を描くだろうか

問いの解答例・解説

■p.230 課題の把握・Q

問い EU加盟国間には,経済面でどのような特徴があるだろうか。

【解答例】 ・移民が流入することで,国内の雇用が奪われる。@・貿易面をはじめとした経済活動において,EUのルールを適用することに関する拒否感がある。


■p.231 視点B・Q

問い 財政赤字が多い国にはどのような特徴があるか,p.230の地図も使って考えよう。

【解答例】 まず,地理的な面ではヨーロッパ南部に位置する国が多い。また,ドイツが財政規律を重んじるのに対し,2000年代後半から2010年代前半でのユーロ危機で明らかとなったように,財政面では放漫な国も少なくない。


■p.231 まとめる

問い イギリスのEU離脱から考えるEUの課題は何だろうか。離脱を推進した人々の主張からも考えよう。

【解説】 EUの課題としては,次の各点があげられる。@・EUには多様な国家が存在するが,域内で統一の金融政策を(ECBにより)実施するため,経済規模や経済的背景も異なる国家に対してはちぐはぐな対策となる。
・一度EU域内に入れば,移動が自由になるため,国内の雇用が移民に奪われたり,治安の悪化につながることもある。
・経済活動においてもEUの枠組みがあり,自国の自由に経済活動をおこなうことができない。


■p.231 発展

問い EUは今後も政治や経済の統合を進めるべきだろうか。根拠を示して自分の意見をまとめよう。

【解説】 まず,今後も政治や経済の統合を進めるべきとする主張の根拠は次のようになる。
・アメリカや中国といった大国とは一国で対することは難しく,EU全体として国際社会の中で存在感を示す必要がある。実際に,EUの個人情報保護規制のように,EUが世界をリードして進める分野もある。
・ヨーロッパは過去幾多の争いが起こり,そのたびに多くの犠牲を払ってきた,ヨーロッパの恒久平和をめざすためにも,統合を進めるべきである。
・過去,EUは統合による恩恵で経済発展を続けてきた。これからの経済発展においても,統合は欠かせない。
他方,政治や経済の統合を進めるべきではないとする主張の根拠は次のようになる。
・今後も統合を進めれば,第二のイギリスを生みかねない。EUは発足当初以上に多様な国家が存在しており,今後は統合を止めるか,分野を絞った統合を進めるか,もしくは希望する国だけでの統合を進めるなどの選択肢も考える必要がある。