p.228-229 地域的経済統合
問いの解答例・解説
問い 地域的経済統合が世界中で進められる背景には,何があるのだろうか。
【解答例】 ・WTO(世界貿易機関)での枠組み(ラウンド交渉)が,各国間の対立により,進展しないこと。@・経済のグローバル化により,国の枠組みを超えた生産体制や経済活動の必要性が生じたこと。
問い 地域的経済統合のそれぞれの段階で,どのようなことが可能になるのだろうか。
【解答例】 それぞれの形態において,下にいくほど経済統合としての結びつきが強くなる。たとえば,地域貿易協定はあくまでも貿易面での関係であるが,共同市場になると域内での労働・資本などの生産要素の国際間移動も自由化される。最終的な完全経済同盟では,経済面では1つの国家のような存在となる。
問い それぞれの地域的経済統合にはどのような特徴があるのだろうか。
【解答例】 一覧表のなかでは,EU(欧州連合)が最も進んだ経済統合となっている。また,USMCAは加盟国こそ3か国であるが,人口や経済規模はEUに匹敵する。一方で,APECは規模こそ大きいが,あくまでも緩やかな経済統合であり,経済統合の進化という面ではほかとは異なる。
問い 地域的経済統合にはどのようなものがあるか,あげよう。
【解答例】 地域貿易協定(FTA,関税同盟など),共同市場,経済同盟,完全経済同盟
問い 地域的経済統合が進めばどんな効果があるか,またどのような国や人々に負の影響がおよぶか考えよう。
【解説】 地域的経済統合が進むと,次の効果が考えられる。
・経済発展や労働の移動自由化などによる域内全体としての経済成長
・域内の他国に対する輸出が増えることによる,域内各国の産業の発展
一方で,地域的経済統合は必ずしも人口や経済規模などが同じ国家間で結ばれるわけではない。実際,最も統合が進むEUでもドイツやフランスといった経済大国と,中東欧の国々の間には大きな経済格差がある。それゆえ,経済規模が小さい国では,国内産業が衰退するなどの問題も起こる。一方で,フランスではEU域内を自由に移動できる労働者により,自国の雇用が奪われているといった声も少なくない。